デビューの舞台のリアリティ、アクシデントの怖さ、そして六花の意外な(しかし予期されていた)一面などがグッと読み手を引き込む傍ら、千花たちを取り巻く「子供達」の心理の動きが浮き彫りになってきています。ネットでの中傷などは、現代ならではですね。
最後の方になって出てくる「皆お互いにライバルだと思っているんじゃないのか」という心理はとてもよくわかります。バレエだけでなく、能力だけで勝負しなくてはならない世界は、学んでいる間から「仲間」も「ライバル」。そんな世界でこの二人の姉妹がどうなってゆくのか、そして空美がこのストーリー上に戻ってくることがあるのか?この先がとても楽しみです。
シビアなあまり、つい意地悪な態度をとってしまうというような狭量の人もいるし、あからさまに人を陥れるような悪意もつねに存在する。お金のかかった実力の世界というのは、皆が「必死」という形相で、どうしてもドロドロしてくる。甘ちゃんはいじめの格好の標的にされてしまう。
しかし、上に立つ方々とはちゃんと見るべきところを見ていらっしゃる。六花をそばでささえてくれる先生の存在には、ホッとさせられる。
それにしても、空美のエピソードがごぶさたで、気になるところ。彼女も日の当たる場所にでて、堂々と実力を発揮してもらいたい。
一方、六花も、貧血を起こしたひとみの代役として、急遽舞台に立つ。
のみならず、千花のアクシデントにより、思いもかけない状況に巻き込まれる・・・。
拒食症や、ネットでの誹謗中傷など、バレエ界の内側のどろどろも描きながら、それでもひたすらに踊る少女たちが、美しいバレエ漫画。