言わずと知れたホーキング博士とその娘さんのルーシー・ホーキングによる児童書シリーズ第２弾です。第１弾George's Secret Key to the Universeの続編となっています。
今回は、前作の主人公ジョージ、隣の女の子アニー、アニーの父で科学者のエリックはもちろん、天才少年エメットも登場し、舞台は英国からフロリダへ。
アニーがスーパーコンピュータのコスモスを通じて「エイリアンからのメッセージ」を受け取ったことから、アニーとジョージを中心に謎解きと冒険が始まります。
文字はなく絵だけで示されたそのメッセージを解読しながら、二人の子供たちはメッセージの指示に従って次々に移動。それこそ本書のタイトル通り「宇宙の宝探し」の旅に出ます。
子供たちの冒険にしたがって登場する様々な惑星、衛星などについてはコラムを設けて丁寧に解説がしてあるので、太陽系の星ぼし等について勉強することができます。
また、今回は、アニーの父エリックが同僚たちに頼んで子供用に各自の専門・関心についてちょっと書いてもらい、それを冊子にまとめた、という設定で、
The User's Guide to the Universeというコーナーが８か所設けられています。この箇所では、宇宙マイクロ波背景放射や赤方偏移、地球外文明探索計画や生命の起源など、
さまざまな最新の宇宙論に関する解説を読むことができます。このコーナーは、ホーキングだけでなく、色々な大学やSETIなどに所属する研究者が執筆しており、
子供向けにわかりやすく書かれた、しっかりした本格的な説明が載っています。「生命の起源は火星かも？」など、おもしろい論も紹介されています。
楽しく読めた第１弾以上に今回の２作目は、「エイリアンからのメッセージ」を追っていくという設定もあってワクワクしながら読める面白さ。
ファンタジーっぽさも加えた物語の中にも科学的事実を織り込んでいるので、物語が少々説明的になる箇所もありますが、それでもどんどんページを繰りたくなる楽しさでした。
前作ではやんわりと言及されるだけだったエリックの昔の物語も語られるほか、スター・トレックシリーズでよく出るセリフがさり気なく挟みこまれているなどニヤリとさせる箇所も満載。
また、コラムだけではなくThe User's Guide to the Universeコーナーも入ったことによって、前作以上に最新の宇宙論に関する解説も増えているので、
楽しくストーリーを追いながらも非常に勉強になる本です。ところどころに見事なカラー写真も含まれており、挿絵も多く入っています。楽しくてためになる、年齢に関係なくおすすめの一冊。
英語は「児童書」として考えるイメージよりは平易ではないかもしれませんが、字がとにかく大きいし、もちろん難解な文もありません。