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行動を説明する―因果の世界における理由 (双書現代哲学)

価格: ¥3,570
カテゴリ: 単行本
ブランド: 勁草書房
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志向性(信念・欲求)の自然的・基礎的研究 ★★★★★
本書の主題は、生物の行動における信念や欲求の役割である。より詳しく言うと、信念や欲求の内容(意味論的特徴)が行動の自然的・因果的理解の中でどのような役割を果たすかを示すことである。
意図を要件とする「行為」でなく、本能的・機械的動作を含む「行動」という、より一般的な概念を対象とし、また信念や欲求についても原初的なレベルの内部表象や状態を出発点として、最も基礎的な所から考え直すというのが本書の特徴であり魅力である。
本書の中心テーゼ「信念や欲求の意味論的特徴は行動因果過程の構築原因である」は私自身は十分説得的と思うが、このテーゼへの賛否に関わらず、因果・表象・説明など基本的概念整理がとても勉強になる。
人間特有の高度の信念・欲求については最終章で論じ、原初的な信念・欲求からの発展の道筋を概観している。具体的には、信念が個々の行動の文脈から独立して汎用性を獲得し、自由に他の信念と作用連関して体系化し、相互依存し、欲求も信念の媒介によって派生・精緻化する、といった道筋である。ただしその詳細の研究は本書ではなく将来の課題である。
気になったのは巻末の訳者解説で、冒頭部を除く約20ページが本文内容の批判的検討になっているのだが、本文よりはるかに理解が難しい。上述の中心テーゼを他のドレツキ論文まで引用しつつ形而上学的に?批判しているのだが、読んでも「何でそんな話になるかなあ」としか思えない。ドレツキが不毛な用語論争を警戒して慎重に避けた論点に固執しているような所もある。要するにかなりの部分が訳者解説としては何だか逆効果に思える。それに比べ本文はずっと分かりやすくて面白く、翻訳は非常に良い。