息子のブッシュは父の失敗を肝に銘じて、国民の目を内政から外政にそらせるために、イラク、アフガニスタン積極的に介入しているかのようだ。「強いアメリカ」を海外で発揮できなければ、とても内政が強いとは思えないブッシュ。2期目の当選も危ないないだろう。
それにしてもわが日本、ただいるだけのような小泉首相さえも冷静に批判できない日本のマスコミ。ジャーナリズムに携わる人間こそが真っ先に読む本ではないだろうか。
著者が指摘する通り、冷戦後、ユーゴ、ソマリアといったアメリカの死活的利益とは直接関係がない地域で凄惨な大量殺戮が発生した。メディアの報道によって一時的にアメリカ国内の関心が高まることはあっても、基本的に、外交に対する関心は低く、自ら犠牲を出してまで紛争解決にコミットするとの姿勢はない。そのため、アメリカは強大な軍事力を擁しながらも、海外の紛争のためにアメリカの兵力を投入するだけの覚悟はない。
本書においては、このような事態にあって、大統領以下ホワイトハウス、国務省、国防省、軍などの主だったプレイヤーが、それぞれのエゴや個性、来歴(例えば、移民、ユダヤ人、ヴェトナム戦争体験)、所属組織(陸軍、空軍の違い)などを背景として、どのような考えや主張をを持つに至ったのか、そして、政策決定過程において彼らの間にどのようなinterplayが展開され、その結果、アメリカがどのような行動を取るようになったのかについて克明に記されている。
湾岸戦争時代のブッシュ政権の主要メンバーについての分析も興味深い。今のブッシュ政権がどのような考えを持つ人々によって構成されているかがよく分かる。
何年も前にThe Best and The Brightestを読んだ時、大変な感銘を受けた覚えがある。ただ、ヴェトナム戦争は僕の子供のころに起きたことなので、直接的な記憶がない。その分、今回の本は現代のことが書かれているだけに、一層馴染みを持って読むことができた。