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女三人のシベリア鉄道

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 集英社
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疲れた… ★★★☆☆
当時の洋行がどれほど大変だったかをしのぶにはよい本。鉄道好きにも興味深い本ではありますが、なぜかとても読むのに疲れた本でもあります。紀行文って普通は情景を思い浮かべたり、一緒に旅した気分になれたりして、疲れずに読めるジャンルだと思うのですが、これは違います。引用が多いせいもあるのでしょうが、常に、著者の今の旅と過去の三人の女性の旅とを整理しながら読まないといけないせいかもしれません。

途中で突然、この旅の翌年の著者の紀行文が挿入され、さらにそのエピソード中には脈絡なしに突然別の知り合いの話が出てきて、読むほうとしてはよけい頭がこんがらがります。
一冊で四度おいしい旅日記 ★★★★☆
作家の旅日記を読むのが好きだ。
テーマに沿ってきれいに編集された文章でなく、作家の頭の中を覗きこめるような、雑多な文章。
見た景色、出会った人、食べたもの、何気ない雑談、乗り物酔いや食あたり、喧嘩。
そういういろいろが全部放り込まれた文章から、作品からはうかがい知ることのできない、作家の人間らしさが見えてくる。

本書は、地域雑誌「谷中・根津・千駄木」で知られる著者の手による旅日記。
与謝野晶子、中條(のちに宮本)百合子、林芙美子の旅日記を携え、通訳の留学生とともに、シベリア鉄道に乗り込む。
時を越えてオーバーラップするシベリア鉄道の旅が、重層的に楽しめる一冊。

夫鉄幹を追いかけて、七人の子どもを日本に残し、単身パリを目指す与謝野晶子の熱情を筆頭に、当時の「書く女」たちはおそろしくエネルギッシュ。
「旅のことを考えると、お金も家も名誉も何もいりません。恋だって私はすててしまいます」と言って、異国の乗客ともボディーランゲージで仲良くなるのは林芙美子。
恋はすててしまうと言ったくせに、日本に夫だってのこしてきたのに、パリに着くや否やちゃっかり恋をしてしまう芙美子さん。どこか可愛くて、にくめない。
山の手のお嬢様そだちの中條百合子と、カフェで女給をしながら書きつづけた芙美子とでは、同じ国を旅して感じることがまるで違うのも面白い。

本書で紹介されていた「林芙美子紀行集 下駄で歩いた巴里 (岩波文庫)」も、記憶の薄れぬうちに読んでみようと思う。
素材がすばらしいだけに残念です。 ★★☆☆☆
森まゆみさんのお書きになったシベリア鉄道の旅、
(しかも知的で信頼できる通訳・ガイド付き)
というとても興味深い紀行文。

宮本百合子、与謝野晶子、林芙美子
私の好きな作家3人の旅をたどる内容。
とっても期待して読み始めましたが・・・
やはり超個性的な3人の大作家は
いっぺんに論じるには脈絡がなさ過ぎますね。
引用だらけでとても読みにくく
そこに著者の旅行の印象や感想が
唐突に、言葉足らずに語られて
なにかとてもまとまりがない感じです。
せっかくの大旅行だし文献もいっぱい調べてあるのに
非常に残念な出来だと思いました。
これだったら
「旅の印象スケッチ」ふうに
短いエッセイを並べたほうがよかったみたいですね。
素材はすばらしいけど
まとめる根気がなかったような・・・
特に宮本百合子の「道程」は読みきるのも大変な大長編。
短歌の晶子や散文調の芙美子と並べるには
無理がありすぎました。




旅行に書生を伴った発想が素晴らしい ★★★★★
森まゆみは1954年生まれという。若い頃、シベリア鉄道を使ってのヨーロッパ行きに憧れた。当時それが一番安いルートだったから。
結婚し、離婚して3人の子を筆1本で育て上げた。
地域雑誌「谷中・根津・千駄木」を創刊し、それから積み上げて文筆家としての地歩を築いたが、基本的には文学者というよりライター・編集者というべき人だろう。最近は旅行作家の趣きもある。
私がこれまでに読んだのは「鴎外の坂」「即興詩人のイタリア」だが、それぞれ敬服すべき作品であった。

その森まゆみがある時、わが国の大女流作家3人がシベリア鉄道でヨーロッパに行っていることに気付いた。与謝野晶子、中条百合子(宮本百合子)、林芙美子である。
自分のかっての夢と重ね合わせて、彼女はこの3人の著書や日記をトランク一杯詰め込んでシベリア鉄道に乗り、偉大なる先輩たちの旅を追体験する。
シベリア鉄道といってもウラジオストックから乗るルートと、大連-ハルビンを経てシベリア鉄道に入るルートがある。ウラジオは軍港として日本人は入れない時期があった。

かくしてこの書はウラジオルートと大連ルートの2度の旅行を合わせた内容である。
与謝野晶子、宮本百合子、林芙美子、それぞれに面白い。といっても私は宮本百合子とはまったくご縁がなく1冊も著作を読んだことがない。
私が面白かったのは、森まゆみが2度の旅行にガイドを同行したことである。
ウラジオルートにはロシア人の、大連ルートには中国人の、日本の大学院に学ぶ苦学生を通訳・ガイドとして同行した。
それぞれの実家にも立ち寄るのだが、苦学生であるからして実家も庶民の家である。何年ぶりかで帰郷した娘を迎える家族。一家眷属が集まって精一杯感謝をこめて森を歓待する。涙ぐましい。
家族たちは森のことをどれほどのお大尽と思ったことだろう。
1910、1920、1930年代の3人の女性の旅との比較が、何故かわが世代には切ない。

それにしても森まゆみはよく歩きよく書く。克明に書く。
書かねば食えない覚悟が、元来の才能を磨いたのだろう。

紀行文と作家論が半々の内容 ★★★☆☆
著者森まゆみは女性作家・与謝野晶子・中條(宮本)百合子・林芙美子の本を大量にトランクに持ち込み、鉄道に乗る旅を決行した。
その鉄道の旅と、著者が親愛と敬意を抱く女性作家三人の当時の旅とが交差しながら進んでゆく。
シベリア鉄道の魅力と、1912(明治45)年との比較だけでなく、作家論にも及ぶ内容なので、この1冊丸々好きな人は出にくい内容。
紀行文なのか、作家論なのか、となると、見事に半々の内容。
シベリア鉄道に興味があり、この三人の女性作家のファンの人なら評価が上がると思う。