本書に興奮した私は、何人ものアメリカ人の友人に本書の内容を話したが、誰も乗ってこない。「また、その手の話か」程度の反応である。それでアメリカで何百冊と出版されているJFK暗殺物の数冊を読んでみた。各々がウォーレン委員会報告書を種本にしており、それぞれ独自の視点、分析を加えて本書と似たり寄ったりの類推がされている。どうりでこの種の話は珍しくないのだ。マフィアのボスの娘の思い出話でほぼ本書の内容に近い本もある。ニクソン大統領が自分がJFK暗殺に関った証拠がウォーターゲートビル民主党事務所に隠されていると思って、ウォーターゲート事件を起こしたとの類推は、私が知る限り本書だけのものである。
近年、CBS放送等の調査、実験で以前不可思議に思われていた点(例えば、JFKの脳みそが射撃された方向に吹っ飛び、体が玉が飛んできた方向に倒れた点、弾丸は体内に入ると直進せず、進路が回りくねること)が実際に起こりうることが次々に明らかになり、オズワルド単独犯説が最近は力をつけているように思える。
(最も、なぜあれだけの証人が次々と亡くなったかの疑問は残ったままだが)
ただし本書がきっかけで随分とその後、勉強させてもらった。その意味では感謝している。
著者は執拗なまでの取材に基づいてこの謎を推理し、答えを出しています。この答えが真実だとは言い切れないのでしょうが、これに近いことが起こったのでは?と納得させられます。ただ、決定的と言える証拠がないのが残念でした。まあ、今まで何人もの人が幾通りもの説を唱えてきて、それでもまだまだ解明されないままのアメリカ歴史上最大の謎なのですから、そう簡単に決定的な証拠などでないのが当たり前といえば当たり前なのでしょう。
登場する人物がとても多く、名前を覚えているのだけでも一苦労、一度読んだくらいではわかりづらいところも多いことと思います。再読、再々読をおすすめします。その度ごとに、アメリカの裏の顔への怖さが増してきて、背筋がゾッとするでしょうが。