直木賞の価値
★★☆☆☆
直木賞を取った作品は面白いと思っていただけに
ショックなぐらいつまらない作品だった。
他者と関わりたくない心情は年を経るに連れ
薄まっていくというのも真実、
年と共に偏屈になっていくのも真実、
傷つきたくはないのが真実だと思うが、
それでいいのか的なことをエンタテイメントから
直接の示唆を受けるのは望まない。
あんはおかんか!?
最低評価でないのは最後の10数ページはカタルシスがあったから。
対岸は遠くない
★★★☆☆
人との係わり方。簡単な人にとってはとても簡単なことなのでしょうけれど、そうでない人にとってはいくつになっても難しいですね。
スポーツが得意な人、勉強が得意な人、お金をもうけるのが得意な人がいるように、人間関係が得意な人がいて、そうでない人がいます。
子どもの頃、人との係わりで嫌な経験をした人も、大人になると何食わぬ顔をして生きているけれど、意外とその経験は心の片隅に残っているのかもしれません。
そんな経験を持つ二人の女性が、大人になった今、キャリアウーマンと専業主婦という全く違った境遇の中で出会い、相手の過去に自分の過去を見つけます。
「私って、いったいいつまで私のまんまなんだろう。」この書き出しにドキッとする人は少なくないと思います。
自分はいくつになっても自分まま、苦手がなかなか克服できない。そして、自分から生まれた子どもも自分と同じ苦手を抱えている。
他人は自分を映す鏡だという言葉もありますが、気になることばかりが目についてしまいます。
そうして全く違う世界に目を向けたつもりでも、実はそこにも自分と似たものを見つけてしまう。
本の出だしは、主婦と高校生の日常を淡々と描いたもので、劇的ではないのですが、読み進んでいくうちに、二つのストーリーが溶け合い、主人公が成長します。
他人の中に見つけた自分と向き合った時、少し何かが変わるのかも知れません。
「対岸」というのは、「遠い」ということではなく、「見える場所」ということのように思いました。
30代のナナコは、いったい何をしているだろう
★★★★☆
たまたま手に取ったこの本が、自分と同じ30代女性を主人公にしていることと、葵の故郷が自分と共通していることに驚きつつ読んだ。
女子ってなぜか、仲良しグループを作りたがる。
小学校のころ、特定のグループの子とべったり一緒にいて、トイレに行くことでさえ連れ立ってた。
それが、「友達」ということなのだと勘違いしていた。
でも、ちょっとした諍いで仲間はずれができ、そのターゲットは次々と代わる。
つい昨日まで仲良くしてた子を仲間はずれにしてしまう罪悪感。
次のターゲットに、自分がなるのではないかという恐怖感。
私も小夜子のように恐れていた。
だけど、ナナコは違う。
つるむ友達を多く作る事に、自分の大切なものはないと言い切れる強さを持っている。
起こっていることを、ポジティブな言葉で表現するナナコ。
いまでも憧れるな〜、こういう言動が出来る人。
連絡を取りたいけれども、逆に連絡することに怖さがあって縁遠くなってしまった、葵とナナコ。
もしも30代になって、偶然出会うとしたら。二人はどんな言葉を交わすのだろう。
30代になっても、ナナコの核は変わらず、あの頃の大切なものを大人になっても大切にしている強い女性であってほしい。
「 YELL 」の二番を彼女達の為に
★★★★★
娘が前に買って妻も呼んで本棚に。数年後
上京時の車中で読むために、私がたまたま手にとりました。
上質な余韻がありますね。良いワインのような
かすかな芳香を思い出しては、胸がキュンとなります。
離れ離れの友人のその後を思わずにはいられません。
いきもの係のあの歌とつながりますね〜。
掃除の持つ意味が興味深い
★★★☆☆
30代女性のテーマなのかもしれないけれど
人間関係と閉塞感。
最近こういうテーマを読んでもピンとこない。
自分が男だというのもあるのでしょう。
でも、たぶんすごく共感する人がいるんだろうなとか
うまく描けているんだろうなっていうのはわかる。
それに、物語の重ね方とずらし方、後半まで一気に読ませる仕組みとか、作者の力量みたいな物をすごく感じる作品ですさすが角田光代さん。
この物語でもっとも共感できたのは、働きだした彼女が「掃除」を仕事にすること。村上春樹の雪かきや大崎義生の水槽あらいのように、(こちらは主人公が男だけど)彼女は掃除をすることで現状打破するのです。
意味があろうとなかろうと、誰かが変わってくれる仕事であろうとなかろうと。手袋をはめず、直接シンクをあらう。そうすればある時突然、汚れがとれる。
人間関係も、同じなんだろうと思う。
株式会社手塚プロダクション
★★★★★
老若女子におススメな作品。どちらもテーマは心の谷底で、片や乾いた絶望が広がり、片や希望の光が差し込む…マギャクな物語ですが是非セットで読んでください。「空中庭園」は“隠し事をしないをモットーとする家族”のあいだに隠された秘密を6人の視点で描いた切なく儚い物語。「対岸の彼女」は二人の30代の女性の物語で、読後は勇気をもらえる作品です。いずれも映像化されていますが、小説ならではの視点と語り口を楽しんでください。
まったり
★★★★☆
女の友情とは果敢ないものなのです。
とは言え、持つべきものは友なのです。
どこでもドア
★★★★★
幼い子どものいる主婦の小夜子は、女社長葵の経営するハウスクリーニングの会社で働き始める。立場の違う二人に友情は成り立つのか・・・。さすが直木賞受賞作。読ませてくれます。単なる勝ち犬と負け犬の物語と思ったら大違い!私は、冒頭に出てくる成人した葵と、高校時代の葵のギャップに、「彼女の人生に何があったのか」と一気に読んでしまいました。ちょっと泣けて、でも前に進もうと思える本でした。
シロクマ店長文芸専門店パート1
★★★★☆
直木賞受賞作。★子なし独身、社長業の葵。子供あり家庭ありの小夜子。生活環境が全く反対の2人に友情は成立するのか!?★今更ながらですが…。「友情」って一体どういうもんだろうとシミジミと本書を読んで考えさせられました。★人の心の内は、見えないだけに難しい。★心を開き他人を受け入れる難しさ…。どこまで心を許したらいいのか?他人との距離って難しい…。★誰かと付き合うというのは楽しい反面、ある意味リスクもあるわよね。
MAJIME書店
★★★★☆
30代半ばの現在と高校生の頃とを行ったりきたりしながら、主人公のこころの動きが優しく克明に描かれており、さすが女性の描く女性像は違うなと感じました。「なぜ私たちは年齢を重ねるのか。・・・また出会うためだ。出会うことを選ぶためだ。選んだ場所に自分の足で歩いていくためだ」というところに妙に納得の一冊でした。
こもも堂
★★★☆☆
第132回(2004年下半期)直木賞受賞。◆ん?
なんか、このシーン知ってる。
って、読みながら何度か思った。
でも、この本読むのはじめてなんだよねぇ。。。
んで、思い出した。漫画化だ!
確か、雑誌で前編、後編に分かれてのってた。
確か、「衝撃の話題作」的な言葉が載ってたっけ。
でも、まったくラストの記憶なし。
どんな衝撃だったのかなぁと、読み終わって・・・・
うーん。衝撃かぁ・・・・。◆物語は2つの話が同時に進む。◆
対岸というのは向こう側のこと。
対岸の火事とは
他人にとっては重大なことでも、自分には何の痛痒(つうよう)もなく関係のないこと。対岸の火災。
結局、葵にとっては重大でも小夜子にとっては痛くもかゆくもない葵の高校時代。
その2つを通して角田さんが言いたかったことは・・・・
「私たちは何のために歳を重ねるのだろう」
人と拘るのが煩わしいと避けてきた小夜子が最後の方で、
何度も問うこの言葉。
これが、きっと言いたくてこの物語を書いたのかなと思った。
雨の日はお家でまったり
★★★★★
人との関わりに疲れた女性にぜひ読んで欲しい一冊。
「理解」よりも大切なことがあることを思い出させてくれます。
通勤電車にゆられて
★★★★☆
独身でいる女性、結婚している女性、仕事をしている女性、専業主婦でいる女性、子どもを持つ女性、持たない女性。立場の違いで分かり合えない女性たちの物語。
新しい出会いを恐れる主人公は、決意を胸に飛び込んだ会社である女社長に出会う。この出会いは彼女に家庭から外の世界に思い切って飛び出してよかったと思わせるが、時が経つにつれ亀裂が生じ、過去の暗い記憶が蘇ってくる。二人の過去と現在の物語を交互に展開しながら、人との出会いやつながりについて考えさせられる本です。
最後は前に進もうという終わり方をとっていますが、悪いことだと見なされる「ひとりぼっち」や「友達がいないこと」を拒絶し、これといった結びつきのないグループでさえ属していることに安心する女性心理の方がよく描かれていて、少し切ないお話でした。
小説まにあ
★★★☆☆
立場が全く異なる二人の女性の物語。話は淡々と進みます。共感できるところも多々…なかなかおもしろい◎
涙の青春物語書店
★★★★★
泣けました。 というか朝の読書の時間だったんでホロ泣きですけどそれでも友達は笑ってましたw 一人でいることがこわくなるような沢山の友達より、ひとりでいてもこわくないと思わせてくれる何かと出会うことのほうが、うんと大事な気が、今になってするんだよね。
ここがやばかったなぁ。 一番心に残るセリフ・・・ こんなこと言ってみてぇw
正しい評論
★★★☆☆
二人の女性が主人公。そして、現在と過去の時間軸。このテーマにはこの方法が最適だった。文学的手法は別にして、この小説は男性が読むべきだと思う。ある意味、今までの言動を変えるほどの衝撃がある。
人を大切にする
★★★☆☆
2005年本屋大賞6位。2007年10月10日発売予定。
恋や愛に似た感情
★★★★★
以前、直木賞を受賞した頃に読んだのですが、今日、久し振りに読みました。結論から言うと、以前読んだ時には感じなかった感動がありました。人によって捉え方は違うので何とも言えませんが、私は八日目の蝉より断然、こちらの方が響きました。読んだ後、恋や愛に似た感情が胸の中に渦巻いています。角田光代の世界観に惚れ込んでいると言う意味でです。日常のどうにもならない苦悩を描かせたら、角田光代は一流と思います。