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American Accent Training: Grammar

価格: ¥2,690
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Barrons Educational Series Inc
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一生懸命勉強してもなかなか英語ができるようにならなかった人のためのやり直しトレーニング書 ★★★★☆
本書は英語がなかなか使えるようにならない人が軽視している基本的な文法の「運用」と「音」をうまく融合させて、通じる米語、使える米語を超基本からトレーニングできる好著です。

細かい項目分け、網羅好き、理屈好きの学習者の好みには合わないかもしれませんが、新しいもの好きな人や、深く考えたくない人、いたってシンプルに済ませたい人には最適であり、効率よく通じる米語の基本を身につけることができるでしょう。

American Accent Training (以下AAT)をよりシステマティックに、より広い読者層を想定した作りになっています。AATも簡潔な英語で書かれていましたが、初心者向けというよりはある程度英語を使い慣れている人で発音やアクセントを重点的に改善したい人に適していました。

本書は、洋書なので当然すべて英語で書かれていますから、それだけで初心者には敷居が高くなってしまうのですが、それでも初歩的なことから書かれているので、かなり取り組みやすい構成になっていると思います。TOEIC 400点以上の人なら大丈夫だと思いますが、なにぶんすべて英語なので、未知の語句、口語表現などの意味は当然すべて自分で調べざるを得ないことになります。ですので、やはり万人向けの自習書と言うわけにはいかないのです。内容がよいだけにすべての人に薦められないのが残念です。教室のテキストとしてなど、直訳ではちょっと理解できない口語表現の意味などをすぐに教えてくれる人が近くにいる場合には初学者にもお薦めできます。

本書を簡潔に言うと、実践的、合理的かつアバウト ということでしょう。文法、語句、発音、アクセントなどで使用頻度の高いものをピックアップしてきて、それらを徹底的に練習し、実践的な基礎力を「確実に」身につけることを目的としています。確固たる基礎さえ「確実に」身につければ、より細かいことを自分で身につけることは比較的容易であるという趣旨です。特に本書では以下にも書きますが、より実践的な音を初歩段階から徹底的に練習していきます。

ここでいう確実に身につけるとは頭で「知っている、わかっている」ということではないことに注意しましょう。冠詞や複数形、三単現のs、動詞の時制などは、頭で考えて話すのではなく、体で覚え、自然に口から出るように、また耳で確認できるくらいまで徹底的に訓練するということです。本書にも書いてありますが、本書の目的は文法の研究者をつくることではなくて、使える英語、通じる英語を身につけさせることなのです。

構成としては各章大まかに、ディクテーション、ストーリー、名詞、動詞、テスト、エッセイ、から成り立っていて、ところどころにアクセントや発音という項目が挿入されます。

ディクテーション:
言うまでもありません。5問、容赦のない米語で書き取り練習です。

ストーリー:
いわゆるリーディング素材・音読素材です。各章で習う文法が含まれている簡潔なお話になっています。日常で使われる語句や表現が含まれているので、わからないものは辞書やネットなどで調べて確実にものにし、音声を聞きながら何度も徹底的に音読するのがいいでしょう。内容もユーモアがあっておもしろいと思います。このストーリーの音声は http://www.grammar.bz/ にポッドキャストとして提供されています。各ファイルにスクリプトも埋め込まれているので、どんな話か参考にするとよいでしょう。

名詞、動詞:
ここで文法を学びます。本書は理屈よりも訓練に重きを置いているので、個々の説明はとてもあっさりしています。とにかくシンプルに済ませるというのが本書の趣旨です。SVCとSVOなどは実際の会話の最中に区別なんてしてる時間はないのでSVOという記法で統一し、話すときや書くときは、SVO+おまけ というパターンだけを念頭に置けば十分である、と、いたってシンプルに済ませます。

そして名詞と動詞が文の構成の根幹であるという意識の元で、本書では、形容詞や関係代名詞などは名詞を説明するものだから名詞の枠組みで、時制や副詞関連の表現は動詞の枠組みで学びます。ちょっとわからないと思うものは、NEW・山口英文法講義の実況中継 (上) 高校英語などで関連項目に目を通すといいかもしれませんが、あくまでも最終目的は理屈を知って満足することではなく、体で覚えることを忘れないようにすることが大事です。特に本書の文法は日本の学習者には簡単と思えるものが多いので、軽く見られがちで飛ばされがちです。しかし実際にそれらを使いこなせている人は少ないのです。本書曰く、Learn it, Own it, Use it.

テスト:
各章の終わりに毎回、知識的な意味での確認テストがついています。知識に関するテストなので多くの日本人にはやさしいでしょう。このテストレベルの文法ができるのに、英語ができないと感じている人は、文法の知識がないからではなくトレーニング不足です。なのでさらに細かい文法書に手をつける前にやるべきことはたくさんあります。本書に出てくる文法を無意識に使えるくらい繰り返し、語句・表現をすべて丸暗記し、すらすら口から出るようになるまで訓練する必要があるでしょう。

エッセイ:
何かを書いてみることで、文章構成力は少しずつ改良するものだから、とにかく何か書け、というものです。このあたりはやはりインストラクターのような人が近くにいる方がよいでしょう。

アクセント:
発音やアクセントは本書の核心的な部分であり、初学者の方は、一章、二章の音声を徹底的に練習するだけでも英語(米語)の音への感度がかなり鋭くなるに違いありません。使われる英語は容赦のないスピードで容赦のない米語の発音です。しかし本書は、文を見てよく聞きましょう、的なことで終始していないのが特徴です。つまり・・・

日本人として日本の中で数十年生きてきた人にとって、英語の音の聞こえ方は千差万別です。未知の音を自分の知っている音に脳が勝手に変換させてしまうらしいので、ただ、よく聞きましょう、では、すべての人が同じように正確な音を認知し、口にすることはなかなか難しいのです。特に、日本語のように単語を文字通りにきちんと正確に読むことがよしとされる言語とは違い、英語(特に米語)は、スペル通りの発音でないことも多く、さらには単語と単語をくっつけて発音するのがよしとされる場合が多々ある言語です。なので単語レベルで一生懸命練習しても、会話になると何を言っているのかわからない、ということになりがちです。本書は、通常の文に加えて、実際に話される単位で区切ったスクリプトが用意されているので、どの音とどの音がくっついて、どういう音になって、どこにアクセントが置かれているかを目でしっかり確認しながらじっくり音読練習をすることができます。それを繰り返すことで米語のリズムを体が覚えていきます。

本書の発音表記はフォニックスを用いています。日本人には見慣れないものなので戸惑うかもしれませんが、慣れると結構、合理的であることがわかります。ですので初心者は、最初はアクセントの位置や単語の音のくっつき方を意識しつつ、少しずつフォニックスの音の表記に慣れていけばいいでしょう。

初学者は英語を聞くとき、こんなふうに聞こえるけど本当にそういう発音をしていいのかな?と思う時もあるでしょうが、本書では堂々と、よい、としてフォニックスとして明記しているのが気持ちいいところです。逆に、こんなふうに言ってるか?と思うものもあるかもしれません。しかし勝手に音を脳で変換している自分の耳よりもフォニックスの表記を信じて意識的に聞こえ方を改良していくほうが確実です。本書はスペルと音の関係の理屈をこねるよりも、スペルと現実の音は別物だからとにかく現実の音をフォニックスを参考にして見て聞いて口にして練習して慣れろ、という姿勢です。

また本書では、理論的な発音記号を網羅的に列挙して練習することよりも、実際に使われている音だけを取り出しているので合理的で実践的です。例えばΛとschwa(eの逆の記号)は、実際上は区別しなくても問題ないとしてschwaに統一されています(その代わりschwaの音は最頻出なので徹底的に練習する必要があります)。ですので発音記号の研究者になりたい人以外は、本書のフォニックスを信じて、かなり大胆に割り切った発音を堂々と使う練習していくのがより実践的で合理的だと思います。

注意としては:
本書で使われる母音は xiii ページで確認できますが、子音はすべて解説されているわけではありません。子音の音だけを出すのは日本人は苦手ですので、これは何かで舌の位置などを確認した方がいいでしょう。たくさんありすぎてやるのが面倒と感じる人は、特に基本的で日本語になく誤解されやすい th, f, v, r, l の音をまず優先してやればいいと思います。米語の現実のスピードでの会話では母音をつぶして子音の音だけで済ませてしまう部分も多々あるので、母音に頼らず子音の音だけをだす練習をするのが大事だと思います。子音だけの音を出すには、必然的に強く発話しないと音が出ません。そしてその強い音が通じる音なのです。
AATの続編 ★★★★☆
American Accent Training(AAT)の続編です。
タイトルが「Grammar」となっていますが、文法のテキストではありません。ごく簡単な文法や熟語が並んでいる、といった感じです。
簡単な文法+それに沿ってAATで培った発音を練習する本、と考えたほうがいいと思います。
発音「だけ」を徹底的に学習したいならAATや他の発音本、文法「だけ」なら他の文法本を購入したほうがいいかもしれません。
ただし、AATの欠点でもあり利点でもあった「説明文までCDに吹き込まれている」ところが、この本ではシンプルに問題演習の収録に変更されています(本自体はAATより厚いのですが、CDは2枚とすっきりしています)。
ですので、「AATは冗長すぎて、復習に使いづらい」という方にはお勧めです。
また、発音だけではなく会話に必要な簡単な文法も交えて練習したいという人にもいいんじゃないでしょうか(ただし、結構しゃべるスピードが速いので、初学者がいきなりやるには難しいです)。
相変わらず容赦ないスピードでAnn先生がしゃべっていますので(※)、良い発声練習になります。
※今回はAATと違い、ほんの一部ですが他の方が例文を吹き込んでいました。