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ぴっぴら帳 1 (双葉文庫 こ 18-2 名作シリーズ)

価格: ¥580
カテゴリ: 文庫
ブランド: 双葉社
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愛しき生活者の視点 ★★★★★
 セキセイインコ・ぴっぴらさんと飼い主のキミちゃん、そして2人(1人と1羽)をとりまく個性あふれる人々とのほんわかとした生活を描いた本作。物語の中の人間関係等は進行していくものの一つ一つは4コママンガになっていて、作者独特の笑いのテンポに引き込まれてくすくすと笑っているうちに心が温まっていきます。
 
 こうのさんの作品を読んでいていつも感じるのは、生活の一コマや、人と人との間に漂う空気感を描くのがとても上手だということ。セリフがなくても肌で感じることのできるようなシーンがたくさん出てきます。『さんさん録』(文庫版)のあとがきに「日記を書いている暇すらほとんどなくなって…」というくだりが出てきますが、こうのさん自身が一日一日をていねいに生きているからこそ描き出せる世界なのでしょう。何だか世の中が殺伐としてきた今日このごろ、より多くの人に読んでもらいたい作品です。
一番好きなこうの作品 ★★★★★
こうのさんの良さが一番よく出ている作品だと思う。またこんな漫画を描いてほしいのだが……やっぱり『戦争とヒロシマ』の方向にいっちゃうのかなぁ。
セキセイインコと過ごす、ほのぼの温かい日常 ★★★★★
今市子さんの文鳥、たかの宗美さんのボタンインコは知っていたが、こうの史代さんにセキセイインコものがあったとは知らなかった。
セキセイ・フリークとしては飛びつくように買ってしまったが、期待以上のものがあった。

文鳥もボタンも、飼い主(=作者)が完全にギャグメーカーあるいは引き立て役として“落ちて”しまっていて、もちろんそこにこそ可笑しみがあるわけだが、本作はひと味違う。
作者の“分身”であるらしい、飼い主のキミ子さんのキャラクターが、ちょっぴり天然気味の、じつにほのぼのした雰囲気を醸している。主役の“ぴっぴらさん”の一挙一動も、セキセイインコ飼育経験者(←いちおう私のこと)が見て、「あ、ウチのコとおんなじだ!」と思わず肯いてしまう仕草ばかりなので、非常にリアル感に溢れ、じつに微笑ましい。

インコが縁で広がる付き合いの輪が、また温もりに満ちている。とくに、“ジャンボ”こと大型セキセイの主・かつみさんのややツッコミ型のキャラとボケのキミ子さんとが絶妙のバランスだ。“ぴっぴらさん”と“ジャンボ”を交えた4人(?)のドタバタは、ほんとうにどこにでもありそうな日常風景で、すごく共感できてしまう。大型セキセイの“ジャンボ”を、人(?)生を悟ったような醒めた王様型の性格に描いているのも、実際に並セキセイと並べるとほんとうにそう見えてしまうので、“ぴっぴらさん”との対照が面白い。

個人的には、カラー口絵の裏の“大図解”シリーズ(?)がツボだ。

ひとつだけ残念なのは、フキダシの文字が途中から活字になっていること。こうの氏の書き文字はとても読みやすいし、ギャグのオチなど、ここというときの強調も上手くて味があるので、そのままにしておいた方がよかったように思うが。
なつかしくって、ほのぼの…ともかくキュート♪ ★★★★★
数ある鳥さんコミックの中で、イチオシの漫画です♪

素朴な人柄の天然娘・主人公キミ子とセキセイインコの
ぴっぴらさん、そして、二人?を取り巻くこれまたちょっと
おかしな人たち・・・お話は古き良き昭和の懐かしい
空気に満ちていて、ほのぼの〜と浸れます。

とてもきれいな絵で描かれたぴっぴらさんがともかくかわいい!
「あ、そうそうこういう仕草するよね〜」なんて、ついつい
目じりが下がってしまって…インコ母のハートを鷲づかみに
してくれました〜。
私たちの「ピッチン」の物語 ★★★★★
昔私の実家ではかなり長い間セキセイインコを飼っていて、その何代目かがとくに賢い手乗りだったので、家族全員で可愛がっていた。名前はどれも正式には「ピーヨン」「ピーコ」といったものだったが、たいていは「ピッチン」と呼んでいて、その賢い手乗りは「ピッチン」と呼ぶと必ず「ピヨ」と返事をするのであった。それから、私が鳥語で話しかけると、懸命に何かを話してくれた。もっとも私は自分で何を言っているのかも、ピッチンが何を言っているのかもわからなかったけれど。

ある朝、ピッチンが止まり木から落ちて動かなくなっているのを母が発見した。掌に乗せるとまだ息があり、ピッチンは母を見て一声「ピヨ」と鳴いてから絶命したという。あのときピッチンは最後の力を振り絞って、別れの挨拶をしてくれたのだと、家族全員が信じている。

そうした記憶を呼び覚ます作品であった。セキセイインコの動きがまさにそのとおり!という正確さで描かれており、ピッチンのことをしきりに思い出した。それに、優しい飼い主と友人たち。暖かい気持ちになれる。余人は知らず、私にとってこれは名作である。