ひとり、ゆったりとソファーに座って…
★★★★★
なんとも、心地よい。そういった表現がいいのかどうか、
本人の解説にもありましたが、
「オリジナルアルバムのように寄付委が入っていない分」
本当に自由な感じですね。
そんななかでも、はっきりと出ている大貫妙子にしかだせ
ない味があります。
ゆっくりと、落ち着いて、良い音で聴くのに絶品の一枚
です。
大貫妙子の生みだした音楽の広がり
★★★★☆
大貫妙子の歌の魅力を満喫するとともに彼女の音楽の歩みを眺めるようなアルバムでもありました。曲を書き始めて36年経ったとリーフレットに書いてありましたが、1973年の山下達郎らとシュガー・ベイブを結成したことに始まり、J-POPの歩みには彼女の役割は欠かせません。『Palette』は彼女が様々なアーティストと共演したり、歌ってきた曲を1枚のアルバムにまとめたもので、年代もコンセプトが違っているからこそ、彼女の音楽の広がりが感じられる1枚になっています。
「snow」には、林立夫、細野晴臣が参加し、「星の奇跡」は東京芸大出身のフェビアン・レザ・パネがピアノと編曲を施しています。いずれも彼女の心象風景のような穏やかな世界が目の前に広がり、心地よさが伝わってきます。
大好きな「ピーターラビットとわたし」は、CD BOOK versionで通常より短い演奏ですが、彼女の魅力がコンパクトに詰まっていました。
映画「めがね」の主題歌も彼女の曲でしたか。映画同様、静かな空気感が伝わるような曲に仕上がっています。
「Shenandoah」での透明な歌唱からうける崇高さが光っています。
「私のフランソワーズ」ではシンガーとしての大貫妙子の少し乾いた声質のもたらす静かな音楽世界の心地よさを満喫できました。
彼女の作詞、千住明作編曲の「Voyage」は「愛・地球博/三井・東芝館」のテーマ曲ですが、人類愛という大きな愛を感じさせる素晴らしい楽曲でした。
MISIA作詞、玉置浩二作曲の「名前のない空を見上げて」、小田和正作詞作曲「嘘と噂」(キーボードは坂本龍一)などこのアルバムでないと聴けない珍しい曲が収録されており、それも値打ちを高めているでしょう。
なお、彼女の楽曲解説が3ページわたって書かれてあり、興味を持って読みました。
全曲リマスターされたコンピレーション盤
★★★★★
すでに発表されたものと、未発表曲、レア・トラックとを混ぜ合わせて作られた編集盤です。
14はMISIAのカヴァー、15はalanへの提供曲(作詞のみ大貫さん)のセルフ・カヴァーです。16のオフコースとの共演曲も貴重です。
完全なレア・トラック集ではないのですが、でも、代表曲も別ヴァージョンが収録されているので、ファンにはうれしい一枚です。
ふわりと心に着地した
★★★★★
ひとって歌を歌うとき、その前にしていた動作に区切りをつけて、「今から歌を歌う」というような心の準備というか、一呼吸があると思うんです。でも大貫さんは、まるで呼吸するように、日常的な一連の動作のように、身体のどこにも力が入っていないような歌い方で、僕も呼吸をするように自然に歌を吸収しているような、とても心地良い気分になります。何度聴いても、聴くたびに優しさを増す一枚です。
かないません
★★★★★
本当に大貫妙子さんと云う人は...
どうしてこんなに年代も発表先も違う曲ばかり集めて(ユーミントリビュートアルバム参加曲「私のフランソワーズ」、NHKみんなのうた収録「金のまきば」, 「Voice Colors ‾あなたといたころ」収録の「名前のない空を見上げて」など)これだけの統一感が出せるのか。
2003年、尾崎亜美さんとの対談で「結局、曲を書いてという事は、自分の生身じゃないですか。その世界観は全然ぶれないので、それに対してどういう景色...見えている景色をどういう風にすれば具現化できるか、っていうのがミュージシャンであって...」と言っていましたがまさにその通り。ご自分の描きたい世界というものが確固とあって、それに忠実に音楽活動を行っているのでしょうね。自作ではない曲すらも完全に自分の世界に引きつけて美しく歌えるというのは、彼女の編曲能力(クレジットは出していませんが半分くらいはご自分で編曲をしているそうです)と歌唱力(年を経るごとにますます上手くなっています。見せびらかしの歌い方ではなく静かにそしてあれだけの表現力を持った人は珍しいですよね)でしょう。
今回のこのアルバムは過去のアルバムに収録されなかった曲も沢山収録されています。全体的には 「pure acoustic」(1996年盤ではなくて、1987年に通販のみでリリースされた方)を思い出しました。セクルーデットで穏やか、そして優しげです。
ロンドン在住ですが、イギリス人に「何か日本の音楽を聴かせて」と言われると大体、大貫妙子さんのCDを選びます。日本語は解からなくても、メロディの美しさ(と言うより他の人が書けないメロディ)と声の透明度の高い美しさとでとても好評です。Epoさんの「Wica」と「Works」も同じような反応を受けますが、みな、「こんな音楽聴いたこと無いな」と思うようです。
この人の前に彼女のような曲を歌った人はいないし、今後も同レベルで同じような世界を描ける人は出ないだろうと思います。彼女の音楽をリアルタイムで聞ける僕たちは本当に幸せだと改めて思いました。
追伸:友人がラジオのDJをしていて、プロモーションでラジオ局を訪れた大貫さんに何回か会っています。何時会っても彼女は、全く媚びない、誰に対しても態度を変えない、でも全ての人にさりげなく気を使う「すっげえーカッコいい人!」だそうです。