多様な白川静像を体験できた
★★★★★
白川静氏は漢字界の巨人であったが、本書では様々な年齢、業種の方が様々な角度から白川静像を語っており、白川先生の大きさを実感できた。
学生時代、漢文が苦手で理系に進んだ経緯もあり、今でも漢文を読むのは苦手であるが、白川先生の著書を拝読してこういう感じの楽しみ方もあるかと目からウロコであった。
本書を読んで、白川学のとらえ方は人それぞれであって、その多様性が漢字学のおもしろさに繋がっていくのだと思った。
60種類の「おもふ」
★★★★★
デカルトの「我思ふ、ゆえにわれあり」を「思」という漢字にしたから間違ったんだ、と生前の白川静さんは国語政策の問題について指摘されていたそうだ。巻頭対談の中で松岡正剛さんがそのことについて言及されている。「おもう」にあたる漢字は、「想」「憶」「懐」「念」を含め、五、六十にも及ぶと白川さんはおっしゃっていたらしい。
やはり翁のの著作を読んだほうが良い。
★★☆☆☆
数多くの追悼文。評論文。しかし白川翁の著作を読んだほうが良いと感じた。
漢字文化の広がり
★★★★★
画家の安野光雅、作家の浅田次郎、吉本隆明など約50名の著名人が、短い文を寄せている。
漢字文化の力の広がりを知ることができる。
できれば、国際的な広がりが持てるとよかったかもしれない。
ここから始まる白川楽。
★★★★☆
これを購入した日、ずっと手放せず、できるかぎり読み続けた。
本書冒頭に収められている五木寛之氏と松岡正剛氏との対談は、
分かりやすく、柔軟で、スリリング。
各界の様々な個性的な方々が原稿を寄せている。
町田康、伊藤比呂美、岡野玲子、高橋睦郎、浅葉克己、
内田樹、押井守、林望、荒俣宏、浅田次郎、三浦雅士、
立花隆、宮城谷昌光、石川九楊、吉本隆明などなど。
それぞれが、特別な思い、体験として、
白川静との事柄を述べている。
「白川静先生は、私がその名を呼ぶときに、
「先生」という敬称を略することのできない
数少ない同時代人の一人である」(内田樹)
白川静の一連の主著や著作集を出版し続けてきた平凡社ならではの一書、
結果的に入魂の一冊と呼べる、密度ある、熱量の高いものになった。
ネット時代になり、デジタル情報で人々の生活と身体が、
細かく分断されはじめたタイミングで、
注目を集めだした白川静の業績。
それは文字や漢字にまつわる偉業という以上の意味合いや存在感、
価値を現代人にとって持つもので、
これから白川学(であり楽)の時代が、豊かに始まっていくのでしょう。
巻末に著作目録・年譜、巻頭に4Pのモノクロ写真ページあり。
装幀:浅葉克己。