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沖縄文化論―忘れられた日本 (中公文庫)

価格: ¥720
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論社
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オキナワモノの最高傑作! ★★★★★
 沖縄そのものが浮かび上がる傑作中の傑作。
本当の沖縄を掴みとり、そして沖縄への深い愛情さえも感じさせる一冊。

 実際に、岡本太郎本人が旅したのは今から50年以上も前のことで、本土への復帰よりも随分前なのだが、今読んでも新鮮で新しい魅力を感ずるのは、岡本本人の鋭い洞察力はもちろん、虐げられてきた島やその人々への共感と、沖縄を旅している自分自身への投影さえも垣間見れたのかも知れない。
美ら海・美ら島、「沖縄の人が大好きだ」という岡本が紡ぎだす言葉は素晴らしく、当時は三島由紀夫がこの本を「なぜ、読売文学賞をやらないのだ。これこそ文学だ」と絶賛し、川端康成は「これを読んで、沖縄へ行きたくなった」と評している。

 本土復帰にあたって、岡本の沖縄へのメッセージとして「沖縄が本土に復帰するなんてかんがえるな。本土が沖縄に復帰するのだ」は、強烈に印象に残る。
知らなかった本当の沖縄を知ることで、今の日本人へのメッセージとして汲み取ることも出来ると思う。
また、当時沖縄の各島を撮影した岡本の写真も、なかなか興味深い。

(ただ、この本のデザインは岡本らしからぬもので、もうちょっと何とかならないものかしらん。)
今では陳腐な沖縄論 ★★★☆☆
 某所での読書会の為通読。

 岡本太郎の文章は高校〜大学時代に愛読し、講談社の著作集さえ予約購入したほど。しかし、沖縄にはさほど興味は無く、本書はこれまで未読であった。

 確かに、太郎流の情熱に溢れ、魂に訴えかける文章は天才的である。川端や三島が絶賛するのも納得できる。

 が、肝心の沖縄文化には相変わらず興味は持てず、岡本太郎の民族学者としての側面を再確認できたくらいである。今から50年くらい前、本土復帰前の沖縄文化論、当時としては斬新で画期的であったのだろうが、今となってはむしろ陳腐化=常識化しているような観察・感想も多い。

 沖縄マニアなら、基本文献として読んでおくのも悪くはないが、岡本太郎の文章としてはやはりまず主著である『今日の芸術』や『日本の伝統』、あるいは一番包括的な自伝『挑む』を推す。
三島、川端も絶賛した沖縄旅行記の大作 ★★★★★
岡本太郎にとっての「沖縄」のイメージが、実際の旅を通じて変遷し、確信に変わっていく様子が、易しく、素直な文章で、率直に表現されていて、沖縄に興味のある人もない人も自信を持ってお勧めする本です。

島津・琉球王国による二重の植民地的支配と重税・疫病・津波・台風・戦争によって、常に厳しく痛めつけ続けられた沖縄の人々が、諦観しつつも投げやりにならずに明るく助け合って過ごしてきた結果、形成された独特の文化、それが沖縄の文化である。意識された美、虚飾が一切なく、「生きること」に直結した唄、踊り、宗教、祭に触れた筆者は、その美しさに感激し、そもそも文化とはどういうものであるものなのかを確信しています。沖縄の文化と日本の輸入文化を対比させ、日本のすべての宗教も文化も、そもそも輸入したもので、政治的意図によってゆがめられたものであり、本来の日本人の肌になじまないものである。その結果、現在の日本人は同質化しており、自らの固有の文化を失っている。日本人の根底にある文化とは、忘れられた沖縄の地に皮肉にも残っているのではないだろうか?というのがあらすじである。

沖縄の歴史と文化について大雑把に理解でき、つまりは島唄の旋律が、どうして物悲しくも明るくも聞こえ、人を癒すのか?が、なんとなく分かったような気がしました。

なお、写真集「岡本太郎の沖縄」は、筆者が、「沖縄文化論」を執筆した旅行時に、筆者が撮影したもので、これまた、もはや貴重な返還前の沖縄の姿が切り取られています。いまは古本でしか買えないけど、貴重な一冊で、両方買って読みたいです。この写真集は竹富島の民宿にはどの家にも必ず置いてあります。
沖縄に行く人も行かないひとも、読むべし。 ★★★★★
大方の日本人にとって、沖縄は単に海がきれいで果物がおいしい南国の島か。それとも、日本の負の歴史を背負い占領に苦しむ、かわいそうな島なのか。

岡本太郎は、前者の無責任で能天気なだけの沖縄に対する意識ではなく、また後者のような同情を持ってでもなく、沖縄の本質を見抜き、そこに逞しく生きる人々の姿を生き生きと描いている。

沖縄について多面的に考えるには最高の書であり、沖縄を通して日本の歴史や文化をも考えさせてくれる本である。読み出したら、とまらない。
沖縄を考える ★★★★★
丸山真男の「歴史意識の『基層』」という論文がある。

その基層の部分に溢れているのが沖縄だ。

平たくいえば、縄文時代の「原始日本」のものが溢れているのである。

北海道もそうなのだが、アイヌ民族の文化がほぼ途絶えてしまった今、原始日本を探るには沖縄にいくのが一番の方法だ。

岡本太郎の好奇心、行動力、観察力によって、その沖縄の姿がありありと伝わってくる。