でも、君の客観性はまちがってるよ、といわれてこれを読むように
薦められた場合、これを読んでもよくわからないかもしれません。
もっと平易な新書レベルの本を読んだほうがいいかもしれません。
ところで、この岩波文庫新版の特徴はなんといっても分厚い解説であろう。表題のヴェーバーの論文が164ページであるのに対して、解説はなんと158ページにもなる。かつてゲームソフトで問題になった抱合せ販売を思い出させるが、この価格で古典とその解説本がパックと考えれば安い。解説まで読んだ者としては「お買い得」だと断言しておこう。ヴェーバーのもってまわった言い回しを、解説がパラグラフごとに理解しやすいようパラフレーズしてくれているので、論旨を追うのが楽であった。
ただし、責任倫理を強調する折原氏の解説は一つの解釈でしかないことを読者は常に念頭においておくべきであろう。自分なりに解釈してヴェーバーの問いかけを考えること、その「考える」過程こそが古典を読む意味なのだから。