ワード・オブ・マウス
価格: ¥1,800
ジャコ・パストリアスは70年代半ばから80年代初頭にかけて、ウエザー・リポートで活動した。ウエザー・リポートがもっとも輝いていたのはジャコがいた時代だった。それに異議を唱える人は、まずいないだろう。それほどジャコの存在感は絶大だった。
これは同グループ在籍中の80年に録音したソロ・アルバム。自身のバンド、ワード・オブ・マウスによるものだが、その録音方法が実にユニーク。最初にジャコがすべてのベーシック・トラックを作り、ほかのメンバーがそこに演奏を重ねていくというスタイルで録音された。そのためここでのジャコは作編曲面を含め、音楽監督として持てる力を総動員している。トゥーツ・シールマンスのハーモニカをフィーチャーした<2>は美しい演奏だし、バッハの無伴奏チェロ組曲をモチーフにした<4>、ビートルズ・ナンバーの<5>もあるといった具合で、ここに聴かれるサウンドはジャンルを超越したジャコ独自の世界。もちろん超絶的なベース・ソロも聴ける。ジャコが音楽家としての全体像を強烈にアピールした記念碑的な作品だ。(市川正二)