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戦争 (岩波現代文庫)

価格: ¥1,050
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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「権力はいつも忍び足でやってくるんです。」 ★★★★★
 作家の大岡昇平がみずからの戦争体験を赤裸々に語っている聞き書きです。
 これが初の文庫化と知っておどろきました。
 わが国の戦争文学の定番である『俘虜記』と『野火』を読んだことがある人は、語られた事実にたいして、いっそうの興味をおぼえるだろう。
 太平洋戦争末期に35歳で陸軍に召集されたスタンダール研究者の冷徹にして精細な観察と、淡々とした自在な語り口の魅力。
 読みやすい。
 おもわず引きこまれる。
 考えさせられる。
 たとえば、
 
 「軍隊というのはとにかく一つの組織だから、この中の悪いことは、世間一般にあるのと同じなんですよ。」

 とか、

 「戦争とは国家の暴力の顕在化したものですが、対外的には戦力という暴力が使われるが、対内的には兵役強要の形で出る。二重構造になってるんですが、これが一緒に崩れるんだな、負け戦になると。」

 といった的確でするどい発言に何度もハッとさせられる。
 これは名著といってよいかと、私はおもいます。
淡々としてて良い ★★★★★
題名は、戦争。しかし大岡氏は戦前の暮らしから徴兵後の大変な日々を淡々と語り、飽くまで非常に冷静なところが、この書を読みやすくさせていると思う。
ただし観察眼は、鋭く、旧軍の抱えていた大きな矛盾や無能な大本営等に対して語るときには、べらんめえ調で批判しているのは、印象的。彼らの世代全員がそうではないのだろうけれど、彼の目には、自衛隊は、完全に巨大な軍事組織として写っており、自衛隊の存在を当たり前のように考えている私たちとは、感じ方が違うのだなと思った。また占領軍である米軍にも批判的な目で見ており、このようなバランス感覚のある知識人がいたのにも関わらず、愚かな戦争が防止できなかったのは、やはり時代の空気だったのだろうか。
「大岡昇平」という人と考え方 ★★★★☆
タイトルの「戦争」という言葉からすると、固い本のようなイメージがありますが、実際は、インタビューから質問の部分を削除した形で作られた本で、しゃべり言葉で書かれていて、非常に読みやすい本になっています。

語られている内容も、大半が、「野火」「武蔵野夫人」の作者大岡昇平の青年時代からの生い立ちや生き方、考え方の記録です。その後、従軍し俘虜になって帰国してから、「俘虜記」等を書いてゆく状況や動機が書かれています。
最後に第五章になって、ようやく「戦争とは」ということで、戦争体験者として「戦争」についての考え方が述べられています。
人間の闘争本能が「戦争」を引き起こすのではなく、「そろばんをはじいてやることを、攻撃性という個人の心理の中へ擬態的に持ちこんでごまかすんです。」と、国家と個人の関係を明確に語り、「反戦」の考え方を語って行きます。

大岡昇平の作品群を考える時、どうしても「武蔵野夫人」という作品が、そのほかの作品から離れているように感じるのですが、もともとスタンダリアンだということを知ると、なるほどと納得しました。