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レイテ戦記 (下) (中公文庫)

価格: ¥920
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論社
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レイテ島の戦いでお亡くなりになられた全ての方に哀悼を ★★★★★
この下巻では転進撤退する日本軍の姿と、アメリカが太平洋戦争でフィリピンに対して行なったことは解放ではなく実質的には再占領、再植民地支配であったことを描く。

「地号作戦」は船舶工兵によってレイテの敗兵をセブ島へ転進させようという組織的撤退作戦だったが、輸送に当てられる大発はわずかしかなく、その大発も米機や魚雷艇の攻撃によって撃沈破され、第一師団その他計約800人を輸送したのみであった。大半の兵士はレイテ島に残され、3月にカンギボット山周辺には約1万人前後の敗兵がいたはずなのに終戦後この山から出てきた者は一人もいなかった。著者がまとめた表からはレイテ島投入兵力が合計で84000人、生還者は2500人でたった3%である。レイテで戦った日本軍のほとんどが消滅してしまったとは!この事実に呆然とする。

戦争という行為自体が大きな犯罪であるという思いを強く抱いた作品だった。
大叙事詩の見事な総括 ★★★★☆
 本書は3巻の最後にあたるが、レイテ戦自体は第2巻でほぼ終息しており、本巻では戦争の総括に紙幅が割かれている。筆者の筆は相変わらず公正かつ冷徹であり、レイテ戦に厖大な犠牲者を発生させてしまった日本の軍部に対してのみならず、米軍に対しても厳しい批判を加えている。特に本巻の最後の部分では、アメリカのフィリピン統治政策やマッカーサーの戦略に疑問を呈しており、興味深い。また、筆者はレイテ戦当時の日米両国に対しては中立的な立場をとっているが、戦後の米国及び米国の極東政策に組み込まれてしまった戦後の日本政府に対しては対立的なスタンスを示しており、筆者の考え方を知る上での参考となった。

 現代の日本人が本書から学ぶべきことは沢山ある。筆者が痛烈に批判した旧軍の「無責任体系」、セクショナリズム、通信・輸送といったロジスティクス軽視などは、残念ながら現在の日本においても見られる現象である。本書はレイテに眠る日米両軍の兵士の霊のための鎮魂歌であり、我々がなすべきことは本書から多くを学び、同じような悲劇を起こさないように努めることであろう。
ぜひ読むべき一冊 ★★★★★
最初読んだのは、急性肝炎での入院中の退屈しのぎで(肝炎ってただ寝ているしかないので)手に取ったときです。多少の忍耐をもってはじめを頑張ると、後は大岡の世界。引き込まれます。淡々として客観的であろうとする筆致だからこそ、かえって格調高く、読み手はいろいろと考える事が可能で感動できます。真実にせまろうとする大岡の気迫。司馬ものは確かに面白いですが、それとはちょっと別次元かな。自分に子供ができたら将来薦めたい戦争本として、この『レイテ戦記』と『戦艦大和ノ最期』を挙げます。
米軍の本質は今日と変わらず ★★★★★
壮大な叙事詩である本作の最終巻は、レイテ島に展開した陸軍第35軍の転進の顛末に終始しているので、あれだけ苦心して読みつづけてきた上、中巻に比べればはるかに読みやすい内容です。それはレイテ島から、いかにセブ島へ転進するかという行為に集約されているのでわかりやすいと言えるのですが、その結末として、軍司令官の戦死という現地作戦軍最高指揮官もが戦死するレイテという地獄のすさまじさが伝わってきます。

規模として軍単位の投入ということでは、インパール作戦と同規模で、どちらも最悪の戦場であったことには違いありません。インパール作戦は高木俊朗氏のシリーズ小説での追求による結論は、あの作戦は必要なかったということ。しかし、「レイテ島は天王山」と大本営に謳われた現地作戦軍は、たとえ主戦場がルソン島へ移っても、そこで戦い抜くしか逃げ場がありませんでした。その結論が永久抗戦。勝手に自活し投降せず永久に戦い続けよというもの。そのため数万のレイテに取り残された将兵は、結局、著者の結論ではわずかな帰還者数と投降者数を差し引けば、その大多数の残留者がすべてレイテに消滅したものとしています。何月何日のどこそこで誰彼が戦死したことまで調べ上げたにもかかわらず、その結末が、一体どこでどのようにレイテの土と消えていったまったくわからない幾多の莫大な戦死者数。

当然、そこの住人であるフィリピン人の被害も甚大なのですが、日本も米国もいわば彼らにしてみれば侵入者。マッカーサーという一人の最高指揮官によっていかにこの戦いの主導権が握られていたのかという実相の解明は、「他人の土地で儲けようとするとき、どういう目に遇うかを示している」という著者の結論は、今日の米軍の軍事行動にまったく同じ言葉で当てはまることに気づくものです。