魅力的な人物像が伝わってきました!
★★★★☆
サラミス海戦の立役者であるテミストクレスの人物像を丁寧に追っていて、彼の魅力的な姿が伝わってくる本でした。
筆者の方は、テミストクレスのことは高く評価されていますが、彼の長所だけでなく短所などにも触れられていて、逆に彼の人間性がよく理解できたと思います。
アテナイ内での実権を掌握するまでの権力抗争についても紹介されていて、当時の雰囲気もよくわかったように思います。
史書からだけではわからない部分についても、当時の社会背景や発掘された史料などから、状況証拠をもとに類推して記述されており、イメージをつかむのに役立ちました。
また、そういった記述をする場合も、あくまで推理にすぎないことがきちんと書かれていたのも好感を持ちました。
個人的にはとても満足できた一冊です。
ただ、サラミス海戦後のテミストクレスについて、あまりページ数が割かれていなかったのが残念。
なので、評価は星4つです。