葉子
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葉子は、恋人、隆史とのエッチをようやく覚えたばかりだけれど、真面目で素直なその心の奥に、被虐の陰影を持っているのを、まだ自分でも気がついてない。細身の清楚な身体は、恋人の隆史には燃え尽きさせられないような、豊かな性感が眠っているのだけれど。
ボランティア先の老人ホームでは、所長の佐藤に気に入られ「どうしても」という頼みに負けて撮影モデルを務めるうちに、次第次第に、見られる刺激が葉子の身体を燃え立たせてしまう。
そんな佐藤の巧みな誘導で、初めての大きなオーガズムを覚えてしまった葉子は、スタジオでの撮影会でモデルを務めることになる。それが葉子の被虐を目覚めさせることになるとは知らずに。
もちろんスタジオにはカメラマンの群れが、涼やかな細面の葉子が、伸びやかで、出るところの出た、ヌードを心待ちにしていた。だが、巧みに持ちかけられた陥穽が要綱を追い詰める。弱いモノをいたわる優しさと正義感が、逆に、逃げることを許さなかったのだ。
大勢の目にさらされた、美しきも気高いヌードに、シャッターの音がアメのようにふる注ぐ。それは、次第に、葉子の身体の奥底で、何かを目覚めさてしまったのか。
闇の世界の案内人、風間によって、その伸びやかで鮮烈な身体に被虐の蜜の味が教え込まれていく。
原稿用紙600枚を越える大作です。
ネット上で公開されたときには熱烈な読者を集めた古川さとしの処女作。当時の濃密文体をそのままに、読みやすさを心がけて、大幅に再構成いたしました。