超高層ビルのサイエンス
★★★★★
本書は一般の人々が都心などに聳え立つ超高層ビルを見たときに湧き起こる
「なぜ」に科学的に答えるために執筆されており、質問に答える形式で
超高層ビルを科学的な面に着目し、ほとんどの質問には見開き2ページで
回答されています。
例えば、1章の超高層ビルの地震対策の話では、よく見聞きする「柔構造」に
はじまり、「耐震」、「免震」、「制震」違いなどが説明され、以降
2章ではビルの工法、3章でコンクリートをはじめとする材料に着目し、
4章では運用上課題となる防災対策、5章では水や電気、エレベータなど設備面、
6章はビル風や電波障害など周囲を含めた環境対策について科学的な
側面から解説がなされます。
専門用語をほとんど用いておらず、全く前知識のない人でも書かれている
内容をきちんと理解することができるようになっており、本書を一読すれば
超高層ビルの全体像をイメージできるようになると思います。
本書は大成建設の超高層ビルに関係するスタッフが中心となり、情報の収集や
執筆を行い制作されたもので、多くの技術が自社の固有技術や開発した
技術のように紹介している傾向は見られますが、書き方を含めて読んでいて
目障りではない程度だと思います。