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Olympos

価格: ¥733
カテゴリ: マスマーケット
ブランド: Eos
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「ILIUM」と「OLYMPOS」 ★★★★☆
「ILIUM」と「OLYMPOS」はダン・シモンズの最新作で遥か未来の火星、木星と地球を舞台にした物語です。二作あわせてひとつの物語なのですが、それぞれの作品の相貌はかなり異なります。(そしてそれが合わせ鏡のような効果をだしています)

アキレス、ヘクターそしてギリシャとトロイの勇者達に主神・ゼウスをはじめとするオリンポスの神々がからみあって物語が展開する「ILIUM」(前篇)は男っぽい相貌をもった破天荒な物語です。魔女・シコラックスが、出番は少ないものの、物語の要となっている「OLYMPOS」(後編/全891ページ)は、やはり、女性の相貌を持った作品といえるでしょう。

「OLYMPOS」では第二部(P187)からようやく登場して来ますが、この後編の主役はアルディス・ホールの若き女主人・アダです。そしてアダの夫のハーマンとアダの従兄のダエマン、この3人のオールドスタイル・ヒューマンのエピソードが「OLYMPOS」の本筋となっています。(アダはハーマンの子を宿しています)
#「ILIUM」と違い話しに破綻がありませんが、その分、「ILIUM」に感じられた焼けるような熱情はありません。

この物語のキーポイントは、ポスト・ヒューマンのモイラに導かれ大西洋にできた海の中の道(割れ目)を徒歩で渡って、ヨーロッパ大陸から愛するアダのいるアルディス・ホールをひとりで目指すハーマンのエクソダスです。主人公たちにとってアメリカ大陸が約束の地だったのだろうか。

しかし、
エピローグでギリシャ人とユダヤ人がともに破壊された都市の再建に従事しているいう挿話(ムスリムはでてこない)、エルサレムの旧イスラム地域に潜んでいるというボイニックスというターミネーターの群れの存在・・・、私はイスラムにたいするダン・シモンズの悪意を微妙に感じてしまいました。
シモンズ節のテンコ盛り ★★★★☆
前編Illiumが、ギリシャ悲劇の匂いを少し残していたのに対し、後編は、全編マッチョなシモンズ節が炸裂。
とにかく長いことは長いのですが、アイデアが盛り沢山で、登場人物も盛り沢山、アクションも、皮肉も盛り沢山、とこれ1冊で何冊もの本を読む楽しみが満喫できます。(実際、何冊分もの分量があるし・・・)
ラストを含め、ハイペリオンシリーズに較べると破綻気味なのは確かですが、これだけの楽しみを提供してくれる本はざらにはありません。
そして、大団円 ★★★★☆
いよいよ後編の登場です。続編ではなく、後編。やはり"Ilium" と "Olympos" で一つの作品でした。
有無を言わせぬストーリーテリング、皮肉で饒舌なユーモアも相変わらず。新たに登場するキャラクターも実にユニーク。この期に及んで拡張するストーリーにワクワクしながらも、これでちゃんとオチがつくのかと、つい余計な心配をしましたが…
残念ながら "Ilium" で提示された謎のいくつかは明確な解答がなされていません。が、兎にも角にもここまで広げた大風呂敷をガツッと畳んでみせた力技には、素直に脱帽。
元ネタではひたすら悲劇的な登場人物たちと数々のエピソードの大転回には、感動というか、開いた口が塞がらないというか。
"Ilium" の幕開きでニヤけた私は、この "Olympos" の幕切れで再びニヤニヤさせてもらいました。
ありがとう、シモンズ先生。オタク万歳。

しかしながら、やはりこの展開にこれだけの長さが必要不可欠とは、どうしても思えない。なので、文句なし★5つの "Ilium" から1つマイナス。
デカイんですよ、このペーパーバック。持ち歩くのはちょっとツライ。これから購入する人は覚悟して下さい(笑)
それでもなお、ボリュームが苦にならない面白さではありますが。これがシモンズ・マジック?

Dan Simmons is back (again)! ★★★★★
ハイペリオン・ハイペリオンの没落・エンディミオン・エンディミオンの覚醒の4部作は、20世紀ハードSFの最高傑作、と個人的に思っている(素晴らしい日本語訳も出ているので未読の方は是非!)。その著者、Dan Simmonsが久しぶりにハードSFの世界に戻って来て書き上げたのが、ILLIUMとOLYMPOSの2部作。量子工学を駆使するギリシャの神々とトロイ戦争、ポスト・ヒューマンが地上から姿を消したあとの地球に暮らす遥か未来のオールド・ヒューマン、木星の衛星群に展開する機械生命コミュニティー。これら3つの世界と魅力的な登場人物・登場機械・登場生物たちが、複雑に絡み合いながら話が展開していく。じっくりと楽しめるので、英語か…と言わずに読みましょう。日本語訳が出たら、また楽しめますし。