具体的には、松本は不良債権処理にあっては国民投票で決定することを提案し、藤巻は、日本の金融・経済対策として円安政策を提言。成毛は日本活性化のために日本国分割をいう。さらに、3人は金融先進国の米国と日本の違いを論議し、最後の章では、日本を変える大胆政策として、マイナス金利政策、円をアジアの調達通貨にすること、通貨庁の設立、デノミ、株式の相続評価減、海外資本流入の促進などを掲げている。
本書に登場する3名はいずれも既存の概念にとらわれない発想力の豊かなビジネスパーソンとして有名であり、本書ではその3人の個性がいい方向で出ている内容となっている。激動の時代の中で政策決定者の年齢が非常に高い日本で、本書の内容が少しでも反映されることを望みたいものである。(木村昭二)
若い日本の次期リーダ3名それぞれが、
細かなポジショントークに終始したり、
政治的な右顧左眄をすることなく、肩肘張らずに
素直な私見をあますことなく披露している。
ここに書いてあること全てが
常識になったらいいなあ。
特に、松本さんは、用心深いというかバランス感覚のよい人で、他の本ではなかなか正体(失礼!)を見せないのですが、この本では、対談相手がよかったのか悪かったのか、「日本の金融資産が1400兆円なんてウソでしょ」みたいな、かなり放言に近い発言もあれば、松本さんお得意の「銀行は与信業なんだから、自分より格付けの高いものに金を出してどうする」みたいな、一瞬意表をつかれるけど、よくよく考えると当たり前、みたいな発言も満載されているので、松本ファンにとっては必読の書だと思います。
また、藤巻さんの、「アジア諸国に円建ての債権を発行させて、日本政府で買ってしまえば、諸外国に文句を言われずに円安誘導できる」なんていう、リフレ政策として為替レート・ターゲットなども提案されている昨今、なかなか興味深い提案もあります。
もっとも、本書の初出は「金融ビジネス」という専門誌で、「イールドカーブを立てる」なんていう表現がなんの説明もなく出てくるので、ある程度の金融経済に関する基礎知識はないと、読みこなすのはつらいかも知れません。
買い推奨
(ただし、まったくの金融音痴の方には少しきついかも)
確かに、内容的には金融業界の方々による現状の経済の見方が描かれていて、その分野に属していない者である私には面白いものであった。
しかし、分野外の人にも理解できるようにという趣旨の下に本として出版したということではあったが、素人に対して読みやすくするなどといったアレンジは皆無であった。(適宜、編集者は注釈や図表などを挟むことをすべきではなかったのではないだろうか)この点は非常に残念である。
また、対話で書かれている為、話が話題に触れただけでどのような仕組みがあったのか等の説明が全くなくて、次のトピックに移っている箇所が㡊??った。そこに関しての解説等があって然るべきだったので不満が残った。
おそらく、金融業界の知識のベースがある方々には、さくさくと読む雑書であろう。その他の方々にとっては、何か他のベースを作って上で読む必要があり、この本を単独で読むことは勧められない。上記の点が改善されて、改訂なり、第2作が出るのであれば、星を5つあげられるかもしれない。