企業の常識・弁護士の非常識(1)
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私は、15年ものサラリーマン生活を経て弁護士になり、平成19年4月に事務所を設立、独立致しました。そこで、独立する以上は、自分の事務所は他の事務所とはここが違うんだという特色を出さなくてはいけないと、ずいぶんと考えたものです。企業経営などで、よくいわれる「差別化」というものです。
しかし、残念ながら、他の弁護士の方たちと比べて、知識にしても経験にしても、「自分しかできないものはこれだ」と言えるようなものは見つかりませんでした。そんなときに、私が以前勤めていた会社の相談役、(私が入社したときの社長だった方です)から、私の開業にあたり、激励の葉書をいただきました。
以下に、引用させてもらいます。
「独立開業おめでとう。独り立ちするには勇気と不屈の気概があったからでせう。創業時は苦労もあるでせうが、乗り越えて頑張って下さい。
君の誠実さ、そして親切な心により顧客を得て信頼をかちえて下さい。親切さこそ最大の差別化と思います。」
私は、会社では期待してもらい、米国留学まで出していただきながら、会社を辞めたわけですから、会社からは、「後足で砂をかけた」と言われてもやむを得ないと覚悟していました。それにもかかわらず、このような葉書をいただいて、本当に感謝しております。
そして、自分の事務所の「差別化」という点についても、何か特別な知識を求めるのではなく、顧客に対する誠実で親切な対応こそが一番大切なんだということを、教えていただきました。
「今後、弁護士として事務所を続けていくうえで、この差別化を大切にしていきたい」
そんな思いを、開業以来持ち続けてきました。
開業しておよそ2年が経過した平成21年3月から、顧問先向けのニュースレターを始めたのも、そんな「差別化」を目指そうとしたものです。必ずしも役に立つニュースレターとは思っていません。しかし、読者の方達に楽しく読んでもらえることを考えて、1年間続けてきました。
このたび、開業3周年を迎えるにあたり、1冊の小冊子にまとめることにしました。楽しんでいただければ、嬉しく思います。