個人的には、本誌のいくつかの論文を読んで、マーケティングのセンスとはアンメットニーズを見つけたり、新しい売り方を考えたりするといった、見えていないものを形にする能力であるように思った。言い換えれば、仮説を作る際に、そのタネを見つける能力である。その能力の1つはデータの見方のようだ。どんな調査を見ても、消費者の求めるものがあからさまに現れることはない。データは、そこに現れない情報を得るための資料にすぎない。つまりデータをどう解釈するか、またデータをどう組み合わせるかという視点が重要になってくる。本誌には、そういうセンスを磨くためのアドバイスが載っているので、興味ある方には参考になると思う。
蛇足だが、この雑誌をマーケティング的に見ると、時事情報系のビジネス誌<Think!<ハーバードビジネスレビューというポジショニングに気づく。近年、MBAやコンサルティングスキルが流行しており、普通のビジネス誌は時事的すぎるが、ハーバードビジネスレビューには手が届かないというニーズを埋めていこうという狙いが感じられる。そのため、特集テーマはいつも「経営×流行」を基調としていて、ツボを突いている。こらからもおもしろい企画に期待したい。