歴代皇帝の中でも在位期間が最も
長かった武帝の青年期です。
皇太后や宰相の影響力を徐々に
排除し、権力を絶対的なものに
していきます。

匈奴に対して領土防衛方針を改め、
本拠地の攻略を目指します。
一巻では、武帝が衛青に将軍としての
才能を見出し、匈奴への反攻が
開始されるまでを描かれています。
今後の展開が楽しみです。

黄帝から前漢の武帝までの物語の中で、武帝の時代に着目した本です。

武帝の外戚として出世した衛青と大月氏との同盟を果たすため流浪した張騫を軸に
話が展開していきます。

外戚ということで時にマイナスのイメージがつきまとう衛青ですが、
ここでは、このイメージを払拭するほどひたすらかっこいい。
また、張騫は過酷な環境下でも心が揺らぐことなく不断の決意でけっして振り返りません。

複雑な背景を有する人達だけに、初めから完成された立派な人格だけでなく、
人格形成に至る心の葛藤や成長、昏い部分の話も読みたい気もしました。

とはいえ、北方先生らしく余分なものは取り払って、かっこいい男の話に
浸りたい人にはお勧めだと思います。

北方ファンである自分にっとてはとても面白いです。
三国志や水滸伝に続いて熱い漢たちの物語になっています。
ただ、項羽と劉邦の時代や始皇帝の時代、さらにはもっとその前の時代の「史記」だと思っていたので、史記の中では最近の時代である武帝というのがちょっと驚きでした。

北方謙三の新シリーズ。漢帝国の最盛期を築いた武帝。その治世を描いていく。とはいえ、この一巻だけでは、どこまでのスケールで話が進んでいくのか全く見当がつかない。ただ、分かるのはこれまでの「三国志」や「水滸伝」と比べても遥かに壮大な話だということ。この２つは言うなれば内戦なのだけれど、この一巻で描かれているのはれっきとした対外戦争なのだ。「守るのでなく攻める戦がしたい」と願いながら、守る戦しか出来ぬ将軍達に失望する武帝。そこへ現れたのが衛青だった。「匈奴を殲滅する」という武帝の夢を実現するため、他の将軍達が想像もつかぬ戦術を編み出す衛青。そして、武帝が匈奴を挟撃するために月氏国に派遣した張騫。彼と仲間達の１０年に渡る苦難の旅路。この二つがこの第一巻の中心だ。「ランティエ」という月刊誌に連載中の今作。１冊に１０ヶ月分が収録されているので、次巻は来年７月ということになりそう。長過ぎる。早く続きが読みたい。