本書は、言語は人間の心と脳を理解するための重要な入口であるという初期の成文言語学の期待を一新した。そして、そのアプローチは非常に広い分野にまたがっている。その革新性の背後にあるのは、著者であるジャッケンドフの基本的な提案で、彼は、言葉の創造性は、インターフェイスの要素を介した複数のよく似た生成システムに由来する、と述べている。基本構造の中でのこの変化によって、心的文法とその学習方法は抜本的な再検討ができるようになる。その結果、ジャッケンドフは言語学と、心の哲学、認知心理学、発達心理学、進化生物学、神経科学、コンピューター言語学との再統合を可能にしている。
取り上げた主だったテーマの中には、言語処理、言語と知覚の関係、固有言語、言語容量の進化、さらに、統語論や語彙といった言語学理論のさらに一般的な問題がある。くわえて、ジャッケンドフは洗練された意味論に、言語哲学、論理的意味論、形式意味論、さまざまなタイプの語彙(ごい)意味論、心理言語学的アプローチ、神経言語学的アプローチ、著者自身の概念上の意味論からの洞察を盛りこんでいる。
このように本書は、言語理論においてこの30年以上の中で最も重要な貢献を果たしている。