曲げたり、壊したり、くっつけたりする電子音の発見
★★★★★
ニコラス・コリンズは、電子音楽の作曲家であり、演奏家で、またハードウェア・ハッキングによる音楽のワークショップの主催者でもある(彼のワークショップは、世界的に定評がある。)。
この本は彼のハッキングのノウハウをまとめたもので、これしかないという技の数々が網羅されている。ハードウェア・ハッキング、ベンディングをやっている人に絶対にお薦め。
************
第二版が出版(2009年)され、装丁も内容も一新された版では、技術的な解説の内容が増えたのに加え、その内容をDVDの映像チュートリアルで確認できるので、本文の内容を具体的に理解しやすくなっている。またアーティスト、グループによる100ほどの実例を、それぞれ1分ほどのビデオで見ることができる。ジョン・ケージがやっていたような、コンタクトマイクを使った電子音楽の方法から、ブレッドボード上の電子部品を組み合わせたアナログ発振回路を使った電子音の作り方など沢山紹介されている。技術レベルとしては、ハードルは低いのだが、表現という点で考えると、高度な内容とも言える。コリンズは、シカゴの美大で教えていることもあって、ワークショップ的でもある。テクノロジーとアートのあり方を一考するのにもいい。