滅私奉公の昭憲皇太后
★★★★★
明治政府の富国強兵を目的とした「良妻賢母」宣伝広報にうまいぐあいに使われた明治天皇の奥方、昭憲皇后を中心に、いかに東西古今の女著名人が男世界の都合のいいように使われてきたか、という研究考察の460頁。
や、徹底的
>(殖産興業/富国強兵のための)国民そのものの生産を保証するため多産の母を褒賞
国家の女性の子宮は家長のものである以上に国家のもの、というより天皇のものになった
>家族を必要とするのは国家である
>良妻賢母という理想の女性像をかかげ...女性達の心性に刷り込んだのである。
で、明治も後半になるとあちこちで「女性の高等教育機関」ができるが、これらは女性の自立とか政治経済への参加を目的としたものではなく、あくまでも「良妻賢母」育成機関であった〜
「男に隷属しつつ子孫を賢く育てることに喜びを感じる」子宮養成学校だったのだ。
昭憲皇后についての何百頁なんだが、悲しいかなかの女性がいかなる人であったかは解らずじまい。著者が意図したかしないか、皇后の「意思」「性格」は隠されたまま、政府の「着せ替え人形」に終始したとまざまざと感じさせられる。
そして、2002年の若桑女史のあとがき
>私が明治の女性達の鬱屈した生涯に胸打たれながら書いた、
>この本のなかにある女性道徳や家族国家論が、目の前で妖怪のように復活している!
そうなんです、若桑先生、そうなんです!!!
さあ、みんなでこの本を読んで、明治の女性がいかに不幸だったかをわかり、そこへもどらないように、みなで力をあわせよう!