混声合唱での不協和音の美しさに目覚めた三善晃の名曲
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大学1年で本格的な混声合唱を初めた頃、前年の定期演奏会のメインステージだった難曲「五つの童画」を聞き込んでその不協和音の美しさに目覚め、先輩たちの歌唱レベルの高さに憧れました。プロ合唱団・東混の演奏は、三善晃のこれら難曲によってその歌唱技術をフルに発揮できておりアマチュア合唱団の目標となるものでしょう。
名曲目白押し。
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作曲家の三善氏と言うと、難解な合唱作品を多く書いておられる印象なのだが、
最初のうちは『嫁ぐ娘に』のような"割かし普通の"作品も書いておられたようである。
後年の作品と比してえらくシンプルな作品であり、王道的なアカペラ合唱組曲だと思う。
ピアノ伴奏付きの『五つの童画』もまた然りであり、
シンプルな構成の中に三善氏独特の"激情"が表れていて、良い。
余談だが、『嫁ぐ娘に』『五つの童画』ともに詩人:高田敏子を後世に伝える上で重要な作品だと思う。
著名な詩人なのだが、なぜか作品が世に出回ることの少ない人なのである。
さて、このCDにはもう一つ重要な作品が収録されている。
それは『男声合唱のための 王孫不帰』である。
並の合唱曲とは違う、凄まじいとしか言いようのない作品である。
初めて聴くときは男が唸っているようにしか取れないが、聴き込むうちに面白さが分かると思う。
この作品に対し、演奏する東混の声質が非常に似つかわしいものとなっている。
合唱ファンなら持っておきたい一枚
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名曲揃い。東混の演奏も秀逸。今は亡き田中瑤子先生のピアノも聴ける。亡くなってもう10年ぐらいになるのでしょうか。早いものです。
中でも白眉は男声合唱のための「王孫不帰」。年の話ばかりだが、30年以上前の作品とは今でも思えない。
あの音を五線譜に落とし込むとこうなるのか・・・と納得しながら何度も譜面を真っ黒にしながら読み返したことを思い出す。
技術的な難度ばかりが強調されがちだが(確かに振るのも弾くのも歌うのも泣きたいくらい難しい)、
これを超える邦人男声合唱曲は今後もう現れないのではないか、とすら思う。
この手の音源って大概すぐ廃盤になったりしがちなんですが、幸いアマゾンさんに在庫もあるし、価格もリーズナブル。いい時代になったもんです。
団員から借りてPCに落としたりしないで、ちゃんと買って聴きましょう。
こりゃ難しい
★★★☆☆
日本合唱界の重鎮、三善晃の作品集その1です。
3つほど組曲、曲集が収録されていますが、どれも現代音楽で調性がなく、あまり普通の人にはお勧めできません。
ですがこういう現代音楽・難曲が好きというなら話は別です。
激しいというだけでは言葉足らずになる和音の連続といい、掛け合いといい、どれも1級の技術を要する曲ばかり。だからこそコンクールなどで歌われる対象になるのでしょう。
何度も聴いていると独特の雰囲気が病みつきになります。合唱マニアには是非。