初期の秀作
★★★★★
あらすじだけ見ると薄っぺらい二時間ドラマの脚本のようである。
しかし、刑事達と女子大生コンビが平行して進める捜査を読むのは実に楽しい。
普通なら主人公である女子大生の引き立て役にすぎない刑事達は実に個性的で、黒川氏の他の作品で主役を務める刑事達に引けをとらない。
そして、氏の専売特許である美術界の内幕である。
およそ芸術家には相応しくない欲にまみれ、情にまみれ。なんのことはない、彼らも普通の人間なのである。
それにしてもあのいかつい黒川さんが女子大生同士のセリフを考えている姿は実に微笑ましい。