「哲学で廃りはじめた潮流が政治学で流行りはじめる」?!
★★☆☆☆
実証主義の立場から実際に社会研究を行う際のガイドラインを定めた書物であり、(特に日本の学部・大学院レベルにおける政治学教育の現状を考えた場合)その観点からは貴重な業績であると言える。しかし、その基礎付けは Carl Hempel らオーストリア学派の論理実証主義者に Popper を接木した時代遅れな代物であって、70年代以降になされた言語理論・科学哲学上の革新(後期Whitgensteinなど)をフォローしてはいない。従ってこの著作は実証主義とは何かを知るには適しているが、そもそも何故実証主義にもとづいて社会研究をなさねばならないのかに疑問を抱く者は他(Anthony Giddens etc.)をあたる必要があるだろう。