アンナ・カレニナ [DVD]
価格: ¥3,980
グレタ・ガルボは本作と『椿姫』で続けてニューヨーク映画批評家賞の最優秀主演女優賞を受賞した。彼女の受賞は充分に納得がいく。95分間のデビッド・O・セルズニック制作のMGMの傑作はトルストイの長編小説を原作にしており、豪華な共演者陣に対しては公平を期しているといえない(とくにキティ役のモーリン・オサリバンがよい例だ。活発なイメージのオサリバンに責任があるのではない)。同様の傾向は、本作のクラレンス・ブラウン監督が以前ガルボを主演にして監督したサイレント映画『アンナ・カレーニナ(原題Love)』(1927年)にも当てはまっているが、本作のほうがより情熱的で流れるような映像である。ブラウンの演出は各シーンでも映画全体でも余計な力が入っていない。ガルボ扮するアンナが、一途な恋が悲劇に終わるのを最初のころに予感して静かに語る「遅すぎたのよ、遅すぎたのよ」というセリフは、破滅的な運命を実に見事に示している。だがフレドリック・マーチが演じるブロンスキーは、うっとうしくてこらえ性のない人物になっている。アンナの夫で出世第一の冷酷な男、カレーニンに扮したベイジル・ラスボーンはどう見てもミスキャストであり、同情すら覚える。それでも彼が人をそらさない俳優であるのは間違いない。(Richard T. Jameson, Amazon.com)