蔦さんがいかに怖かったのかは、よくわかりました
★★★☆☆
高校野球史にのこる名監督のことを、教え子が綴るということで、楽しみにして読み始めました。
古い高校野球ファンなら誰でも知っている、畠山、水野、江上という蔦監督の教え子が分担して
執筆しています。それぞれに共通しているのは、「蔦さんはものすごく怖かった」ということです。
申し訳ないけれど、全編通して、豪快で怖い人ということで終わってしまっています。蔦さんの
哲学や人生論などを期待していたので、残念でした。それと、水野氏の文章は傲慢さが鼻につき、
読まなければよかったと後悔しました。水野氏と同期生で、当時キャプテンだった江上氏の文章
だけは理知的で、読む価値がありました。さすがは早大でもキャプテンを務めていただけのことは
あると思いました。
本書は、企画としてとてもおもしろいと思います。構成や内容についてもっと吟味するべきでした。
以前読んだ『攻めだるまの教育論』や『阿波の攻めだるま蔦文也の生涯』などの方が、蔦さんの
真骨頂が味わえました。