すぐれた映画批評
★★★★☆
タイトルには映画批評と書いたけれど、批評しているというより、鑑賞代理をしてもらっているような気にさえなるエッセイ。観ていない作品なのに感動が伝わってくるような映画がいくつも掲載されている。
レンタルビデオ店などで見つけて観てみたくなった。著者の映画エッセイとしては2冊目らしいので、改めて1冊目も読みたくなった。
いろんな形の愛がある
★★★★☆
沢木耕太郎による、本人曰くは「映画を取っ掛かりに書いてみたエッセイ」。
題名から観ると、恋愛映画ばかり取り上げているような気がするが、実際は
全く恋愛映画には拘っておらず、様々な形の「愛」(それは家族愛であったり
友人への愛であったり故郷への愛であったり…)があるのだと気づかされる。
個人的には自分自身も好きな映画である「エマ」と「硫黄島からの手紙」に
ついて書かれた2編が印象に残りました。
それにしても著者の映画評は非常に上手い。読んでいるとその映画がとても
観たくなります。でも本当に肝心なところの「種明かし」は巧妙に避けている。
この本に載っている映画を奥さんと一本づつDVDで観てみたいです。
純粋に面白かったです。
★★★★★
映画評を読むと、その人物の『在り方』が鮮明に浮き彫りになるような気がするのは私だけだろうか。
よって、映画評をまとめた本を手に取るとき、評論者の考えや在り方を全く知らないと、ついつい及び腰になってしまう。その点、沢木耕太郎氏のエッセイやルポタージュを全部とまではいかないが丹念に追ってきたため、安心して読み始めることが出来た。
かなり最近の映画まで取り上げられていて(アメリカ在住の私も見ていないものも多々あり)、今後その映画を見るべきかどうかの参考になる。ただ、ある程度はストーリーの解説も含まれているので、その点は考慮して読み始めたほうがいいと思われる。
また映画を特に見るつもりはなくても、読み物としても完成度は高い。それは沢木氏の手腕によるところが大きいのは確かだが、やはり、人生において『愛』という言葉を口に出来ない場面は多い、という『個人の記憶』に寄るところが大きいのかも知れないとも思う・・・