インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

無名 (幻冬舎文庫)

価格: ¥560
カテゴリ: 文庫
ブランド: 幻冬舎
Amazon.co.jpで確認
 熟年層は特に読んで損は無し? ★★★★★
 
 長生きして死ぬ時、結構いろいろと大変なんだなあという
思いでした。
 でもまあ、さほど長い時間でも無かったし、うちの話と
余り大差は無い、楽な最期であったようでした。
 わたしもこの歳になると、死ぬ時のことが気になる、
祖父母の死に方、両親の死に方、まあまだ夫方と双方の
母は残っているけれど、誰も皆、長生き系で楽な短期間の最期だった。
 いろいろ見聞しておくことも、大切な昨今。
 
 さて、著者のお気持ちが良く解かる内容だったし、
いろいろと垣間見れて良かった。
 お父様が御家族に愛されているのも、感じ良かったし、
著者双方、かなりの読書家であり、また、そうなると、作中にもあり 
この世のものでなくなる? というか、そう、生きているのか
死んでいるのか、わたしも含めそんな感じになることも
解かったような。
 最後の辺りはやはり胸を打つものがあり、御冥福と
皆様のお幸せを祈るばかりでした。
 
 人というのは、生まれ育ちというのが、殆どを占めてしまうことや、
うちで見れば、血というのもかなり勝ってしまうことも、考えながら
読了。
 確かに、生まれ育ちで宿命というものが、存在してしまう気が
しつつ。
 
 作中、在宅介護、いろいろなエピソードも楽しく興味深く、著者はやはり
何でも見てやろう を読まれていたこと、また、その経緯等も
この度知ることとなった。
 何でも影響を受けることがあること、また資質もあるのでしょう。
 
 深夜特急も全部読了しています、本書で2冊目というべきか・・。
 
『血の味』との併読をすすめます ★★★★☆
無名の書き手が無名の身内を書けば、それは私家版にしかなりえない。有名な書き手が無名の身内を書くのは、身近にテーマを見つけるという安直さにおいて禁じ手であり、作品化に大変な苦労をともなう点で避けたいことではないかと思う。しかし、沢木はいつも通りの淡々とした筆致をもって、禁じられた扉を開け、ノンフィクションの一作品として父親の物語(父と息子の物語)を成立させた。
セレブなどという外来語がもてはやされ、誰もが有名になりたいと思っているような世の中で、ほとんどすべての人は生まれてから死ぬまで無名である。沢木があえて、書名を「無名」と定めたことも含めて、「生きること」についてさまざま考えさせられる。
本書刊行の3年ほど前、沢木は『血の味』という小説を発表している。なぜ、ノンフィクションライターが小説の形を借りて物語を紡ぎ出す必要があったのか、本書を読んでわかった。ずいぶん前に書き始められた『血の味』が父親の死後にようやく完成した、その理由もわかった。
本書読了後、その『血の味』を読むと、かつて沢木の本を読んでいたときに感じていたものに気づいた。それは、たとえば病院に行ったときに感じる非日常感覚だ。彼の作品を読むときに感じていたものは、非日常的な場所の体験だった。ノンフィクションでありながら、ある意味で現実感がない。体温の欠如とでもいうような。
しかし、『無名』には、これまでの作品とちがった、かつてなかった温かみを感じた。
まったくの蛇足だが、同じ父親殺しを扱った村上春樹の『海辺のカフカ』と『血の味』を読み比べることに意味がなくはないように思う。
淡々と、しかし最後まで一気に読みきらせてしまう本であった。 ★★★★☆
父の死を見取り、死後の整理、自分の心の整理をするまでの数ヶ月を書いた本で、とても落ち着いた読み口で、気持ちのよい本だった。
もちろん父の死というのは、題材としても筆者の人生においても重いものだと思う。
ただ、この本は重いだけでなく、きりっとした感触のする本であった。
無名な人にも、その人の大切な人生があり、愛してくれる家族があり。それぞれの家族の事情もあり。
無名である自分の身にも置き換えて、淡々と最後まで読み進めてしまう本だった。
筆者のドキュメンタリーの経験が、自分の父親の死においても発揮された本であり、それ故に必要以上にウェットにならない感触で、ついていきやすい本だった。
通りすがりのバイオ研究者 ★★★★☆
彼の本はノンフェクションを中心に何冊か読んだことがあるが、
自分の生い立ち、父親への想い•不思議な関係を含めて、
これほど自分の内面をさらけ出した本は初めてである。
そのような点で非常に興味深く楽しく読めた。
沢木耕太郎の新たな面を見いだした気がする。
著者の人物像を知りたい人にはお勧めの一冊である。
畏怖する反面、“守るべき対象”でもあったという父親の生涯とは ★★★★★
本と酒を愛した“無名の”父親の人生を述懐しつつ、最後の日々を静かに描いた私小説的ノンフィクション。父親と自分との関係や、父親の生き様から受けた影響を振り返ることで、結果的に沢木自身の生き方・考え方が吐露されているのが興味深い。
厖大な知識を持つ存在として“畏怖”する反面、純粋で世渡り下手な父親を“守るべき対象”と、沢木は感じていた。こうした矛盾した心理を抱え、反抗期を経験することもなく、いつしか他人行儀な言葉を遣う変則的な父子関係になっていった。そしてこの絶対的矛盾の中にいた健気な少年時代の自分を“救出”するために生まれたのが、小説「血の味」だったという。
同書の“父親を刺す”という衝撃の結末は意図したものではなく、書き進めるうちに図らずもそこにたどり着いたらしいが、沢木にとってそれは必然であり、無意識かつ唯一の“父親への反抗”だったのである。