改訂版 不動産投資の破壊的成功法
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前著出版から8年。前著はもともとファンドの金融工学を個人投資家に使えるように噛み砕いた内容でした。数字に古いも新しいもありませんので、8年経った現在もそのロジックは100%妥当しますが、不動産投資を取り巻く環境が変わりました。この間の環境変化を概観してみます。 2005年に日本の総人口はピークアウトしました。 2007年頃までは世界的な金あまりの中で国内外の資金がファンドを通じて流入し、不動産価格は上昇しました。前著を読んですぐに不動産投資を始められた方の中にはこのタイミングで転売によって利益を得た方も多いです。前著で予測したとおりさいたま市のRC物件が値上がりして個人投資家の手が届かなくなったのもこの頃です。 2007年夏頃から米国住宅価格が下落をはじめ、住宅ローンの延滞率の上昇からサブプライム住宅ローン危機が発生しました。サブプライムローンを組み込んだ債権が投げ売りされたことで2008年9月にリーマンブラザーズが倒産し、世界同時株安、金融収縮が発生します。実体経済も景気後退が起こります。 2007年夏頃が都心分譲マンション価格のピークだったと思います。その後いくつかのデベロッパーが倒産します。国内金融機関もサブプライムローン関連の損失計上を余儀なくされる中でオリックス、三井住友が個人向けアパートローンのLTV(借入金比率)を引き下げます。 2009年10月、ギリシャ国家財政の粉飾決算の暴露に始まる2010年欧州ソブリン危機によりユーロ加盟諸国(PIIGS)の経済危機が連鎖します。 現在も邦銀がアパートローンに前向きではない状況は変わりませんが、金余り状況から、住宅ローンでは0.7%を切る商品もでており、実体経済の悪化の中で、住宅ローン以外の貸出先に困っています。貸出先の無い中でアパートローンに活路を見出すべく地銀数行はLTV=100%の融資を再開している状況にあります(2013年1月現在)。 僕の会社が運営する「通販大家さん」は当初の予想に反して非常に沢山の読者の方の共感をいただき、その間に延べ500棟以上の仲介を行いました。反省もあります。 前著がサラリーマン投資家ブームの先駆けだったこともあり、サラリーマンでも億単位の投資が可能であるという部分を強調しすぎて、富裕層の木造投資、耐用年数切れ物件での節税目的の投資についての配慮を書いた部分がありました。 その人の年収、職業、金融資産などの属性によって同じ物件でもフルローンがつくこともあれば、現金を20%以上入れなければならない場合もあります。 ある物件が資産拡大局面にある人にとっては、キャッシュを費消する困った物件だとしても、富裕層にとっては節税のための美味しい物件だったりします。 本著ではそういう反省も踏まえて、サラリーマン投資家を意識した内容から、富裕層にも配慮した内容へと若干の軌道修正を図っています。 不動産投資はスーパーで野菜を買うのとは異なり、誰もが同一条件で不動産を取得できる訳ではないということに配慮して読んでいただければと思います。(金森重樹)