ダメなものはダメは最もだが,では何が,何故ダメなのかを考えるべき
★★☆☆☆
ダメなものはダメ,最もである。しかし,生徒の自由を制限するのなら,何が,何故ダメなのかを生徒に説明する必要がある。学校の外では許されることを,学校の中では制限するというのならなおさらである。特に学校を選択できない中学校では,不合理な制限を科すのは不可能ではと考える。現に丸刈りを強制する学校はほとんど無くなった。ダメなものはダメ,ダメなものとは校則で禁止されたもの,校則で禁止されているからダメでは思考停止である。また,体罰・セクハラなど,教師にもダメなものはダメが徹底されているとは言えない現状をどう考えるのか,これらを考察する必要があるのでは?
他に気になった点としては,ゲーム脳を引用して,ゲーム・インターネット等を批判していること,ゲーム脳などとうに否定されている。またインターネットの俗悪な情報に子どもが晒されている,IT化は教育にとって負の要因という趣旨の記述がある。学校の外は教師から見れば俗悪な世界である。その俗悪な世界に子どもはそれなりに適応している,俗悪だと感じていない生徒は,例えば学校で,性行為をしてはいけませんと言われても,禁止される合理的な理由が無いのだから生徒は聞く耳持たないのでは?
最後に,このような本は教師の受けはいいと思うが,そのことが学校と学校の外とのズレを浮き彫りにするのではと思う。学校は,生徒と社会のためにあるのなら,生徒と社会の変化に目を向け,学校の役割を再考してもよいのではないか。