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731(+1095)

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 角川書店
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unit 731 ★★★★★
悪名高い731部隊を書いた本です。エリート医師たちの組織的犯罪、人体実験や、戦後の免責などが書かれています。石井四郎の実像に迫っていると思います。戦時中、満州で、悪魔の研究に手を染めた医師たちは、戦後、大学教授や、ミドリ十字設立に関わっています。彼らの戦時中の行動や戦後のGHQとの関係などに迫っています。本来小市民的な官僚が、陸軍という組織の中で、壮大な野心を抱き、道をふみはずしてしまう。そして、敗戦で、まだ、一人の弱い市民に戻っていく様子が出ていると思います。巻末の佐藤優の解説も味があります。医の倫理を考えるときにとても大切な本だと思いました。歴史を直視することが大切だと思います。これを一部の医師たちの犯罪としてかたずけるのではなく、軍事体制や戦争、官僚制などと一緒に考えるのが良いと思いました。
迷ってる場合じゃない! ★★★★★
この本を手しようかどうしようか迷ってる人に言いたい。
5周年の記念本だが、今年10周年を迎えたスガさんとかわらないスピリッツを感じられる。
あとがきは、必見。入手困難になるまえに。
難解な資料と多くの取材をもとに,Unit731と隊長・石井を解き明かそうとした ★★★★☆
 第二次大戦中に細菌戦施設をつくった「731部隊(Unit731)」とその隊長・石井四郎について,石井の直筆メモを中心に,アメリカでの調査や多くの取材をもとに解き明かそうとする.
 石井をはじめとする731部隊の中心人物は戦犯には加えられなかった.その背景には部隊関係者とアメリカ政府の大きな思惑がある.それだけに資料や取材内容には様々な隠蔽や虚偽,文章における暗号や隠語が多く,事実関係の確認や推測などが非常に困難であったことがうかがえる.また,人物関係や政治的な背景も複雑で,読み進めるのもなかなか容易ではない.
 戦犯になることは逃れたが,悪名高き部隊を率いた隊長の面影のない石井の晩年の姿が最後に印象深く描かれる.しかしその反面,部隊の中心人物の多くが,戦後日本の医療界の中心に居座り続けていたことも見逃すことができない.そのことが現在も続く様々な医療問題の根底にあることが時折指摘されるが,そのことについては別のところで掘り下げられることを期待したい.
目新しさはないが、若い読者には薦めないでもない ★★★☆☆
 著者は米国在住の日本人ジャーナリスト。関東軍第731部隊をめぐるルポです。石井四郎中将が率いたこの731部隊は中国東北部で「細菌戦」のための人体実験をしていたとされます。

 80年代、作家・森村誠一が「悪魔の飽食」というタイトルのもとに出した一連の731部隊関連書籍が広く世間を震撼させたことを良く覚えています。人体実験が行なわれていたというおぞましき事実もさることながら、石井中将はじめ多くの関係者が、戦後に戦争犯罪人として起訴されることなく済んだのは、人体実験によって得られた「貴重な」データと引き換えに進駐軍から免責を勝ち得たからだということが、多くの日本人に心胆寒からしめる思いを抱かせたものです。

 そうした20年ほど前の出来事を記憶している読者には、本書は目新しいものを与えてくれないと思います。私自身も、今年2005年に出版されるからにはそれなりの衝撃的新情報が発掘されたのではないかという期待とともに手にしましたのですが、残念ながら本書は、少なくとも私にとっては「おさらい」程度の意味合いしかない本でした。

 しかし若い読者が――つまり「悪魔の飽食」出版時にはまだまだ幼かったか生まれていなかった読者が、本書を手にするのは悪くないと思います。目新しさがないということのかたわらで、本書は石井部隊に関する概要を知ることができるものとしての価値はあると考えるからです。

 本書によれば「19人の医師による(人体実験)リポート」というものが行方不明になっているということですが、それがいつの日にか発掘されたときに、その詳細を含めたルポが読めることを期待したいと思います。
人物伝として構成した方が良かったのでは? ★★☆☆☆
「直筆ノートの発見」という宣伝文句はインパクトがあるが、それに内容が噛み合っていない印象を受けた。確かに本書が提示する米軍側の二重構造や石井四郎の小市民的素顔は新鮮味があるが、それ以上のものではない。内容全体がこれまでの先行研究の傍証に過ぎない反面、研究書としても読み物としても中途半端だ。思い切って人物伝として構成した方が良かったのではないか。本書は731部隊に詳しい人には要チェックだが、731部隊を知りたい人にはお勧めしない。

731部隊の研究者は総じて旧軍に疎いが、本書でも「南京にある山東省の第一軍」(全部間違い)といった記述を見ると、本筋とはあまり関係ないとはいえ残念だ。そのような著者だと、隠語や暗号で記載された直筆ノートは荷が重く、何か重大なポイントを拾い落としているのではないか、せっかくの直筆ノートが生かされていないのではないか、と不信感を抱いてしまう。個人的には専門家による次の“直筆ノート解読”に期待したい。