既に彼の他の著作では度々出てくることであるが、錬金術における「哲学者の樹」と、カバラにおける「セフィロトの樹」が近似しているという考えのほか、カバラにおける「殻」が、分析心理学におけるペルソナに相当するだろうことなど、分かり易く説明されていない場合が多いが、非常に興味深い研究が著された一冊である。
また、錬金術における「世界霊魂(アニマ・ムンディ)」が、カバラでは「シェヒナー(神の花嫁)」に相当し、これは同心理学における高次アニマに相当すると考えられるなど、有名なアニマ・アニムス含めた元型論に、錬金術やカバラ、グノーシスなどの研究が付加された、彼の最後の著作にふさわしい奥伝的作品であろう。