探偵以上の役割を果たすポワロ
★★★★☆
ゴードン・クロードは、自分より40才近くも若い未亡人のローザリーンと結婚するが、その直後に亡くなってしまう。裕福だったゴードンからしばしば経済的援助を受けていた彼の兄弟やその子供たちは、ローザリーンが遺産を全て相続することになり、ショックを受けるだけでなく、それまで受けていた援助が受けられなくなり、経済的に窮地に陥ってしまう。とそこに、ある男が現れ、ローザリーンの前夫はアフリカで病死したことになっているが、実はまだ生きていると言う。(それがもし本当ならば、ゴードンとの結婚は無効となり、ローザリーンの相続権は消滅するはずだ。)ここから事件が起きます。ポワロはこのケースに巻き込まれてしまい、事件を解決する探偵以上の役割を果たすのですが、そのかかわり方が面白いです。実際に誰が何をしたかをポワロの謎解き以前に当てるのは無理でしょうが、大まかな筋は読んでいて推測できると思います。驚くような展開が隠されているわけではないので、傑作とはしませんが、かなり楽しめる作品です。また、第二次世界大戦のイギリス社会への影響の一面がうかがえる点は興味深いと思います。