英語の勉強に適当
★★★★★
Berkley; Reissue版のレビューです。通勤や就寝前を利用して1週間程度で読めました。多読の勉強に使えるかもしれません。内容もなかなかおもしろく、推理小説を普段読まない私は見事に作者のどんでん返しにしてやられました。ただ、よく考えると最後に出てきたあれとかは、本来は警察がしっかり調べると思うので、ポアロの推理がなくとも犯人を捕まえることは十分可能だったのでは?という疑問がよぎりました。こういう点で物足りなさを感じた人がいれば、刑事コロンボの最初のDVDなど見ると面白いかもしれません。コロンボは犯人の使ったトリックはさっさと見破っていてそこは捜査の力点ではなく、まだそろっていない証拠を犯人に対して”仕掛けて”取ります。刑事と探偵の違いでしょうか。
あなたは騙される
★★★★★
クリスティで一番好きな作品。
犯人の意外性と、フェアな構成は正に推理小説の範となるもので
読後感に満足頂ける事請け合いである。
これほどまでにきれいに騙され、真相(トリック)に唸った作品は他に無い。
読後感に清々しささえ感じる正にクリスティの最高傑作だ!!
早いうちに読んでおく事をおススメする。
ABC
★★★★★
10年くらい前に図書館で借りて読んで、たしか、偶然の犯罪ではないという記憶だけが残っていました。
新装版になったので、今度は購入して読みました。
ABCというのが、人名、地名、時刻表という3つの道具の間のかけことばになっているところが、犯罪の妙なのでしょうか。
推理小説にありがちな、最後の展開のところが急で、
ところどころついていけなかったり、
未解決だと思われるいくつかの事項について、
あとがきでもいいので、少し触れて欲しいような気もします。
解説でもかまわないので、未解決の事項に関する感想があるとうれしい。
ネタばれになるといけないので、自分が未解決だと思うことは書きませんが、推理小説の未解決事項集のような本があるとうれしいかもしれません。
解説にE以降の可能な人名と、地名の組み合わせもあると、イギリスの勉強になったかもしれない。
読むのが楽
★★★★★
このシリーズは、活字の大きさや配置、インクの質などが程好く、読みやすい。複雑な構成の文章や、難しい単語などがあまり使われていないので、辞書が要らず、寝転んででも読めるのが嬉しい。
1935年、既に『カーテン』の構想を描き始めていたのかも?
★★★★☆
本書はABCの順に事件が起きるという構想、それに合わせて現場に残される「ABC鉄道案内」、ポアロ宛のABCの署名入りの犯行予告状など、ストーリーとその道具立てに関しては従来作品には見られない斬新さにあふれた作品である。
しかし、本書は謎解き部分が消化不良で、まず第一に事件関係者の中に真犯人がいると推理する根拠が薄弱である。
有力容疑者が犯人像に合致しないという推理はいいとしても、事件関係者以外の別の何者かが犯人ではないという根拠について、ポアロは満足のいく説明をしていない。
また、ポアロはある人物に関して、動機が計画殺人には向かないし8月初めに休暇を取っているから8月末の事件では機会がなかったはずだと消去しているが、計画的に殺人を犯す動機が隠れていたかも知れないし、休暇の件こそカムフラージュだったかも知れないと考えないのは推理が浅すぎると思う。
なお本書では、これまでの作品のいくつかに関する言及や翌年執筆される『ひらいたトランプ』を予告するかのような会話が見られるのも面白いが、それらにもまして、そのうちポアロ自身の死を捜査することになるのではというジョークに対し、それを書くのはヘイスティングズが適役だと『カーテン』を予感させるやり取りが、クイーンの『レーン最後の事件』の影響を思わせ興味深い。