内田はスポーツ新聞社に勤めるベテランカメラマン。カメラのオートフォーカス機能が普及する前に、新聞社に入社した彼は、激しく動く動対物をマニュアル撮影できる数少ない職人カメラマンである。そんな彼が、大先輩がベトナム戦争の取材で使用していた『ライカ』を手に入れた。デジタル一眼レフカメラが普及した現代において、旧式のフィルムカメラである『ライカ』を使用することを強く拒んだ内田。斜陽業界と言われる新聞業界。内田のもとへも不景気な話が。彼はスポーツ担当から外されることに。鬱々とした日を過ごす内田に、アマチュアのサッカー選手の試合を撮る話が舞い込む。その中の１人にファインダーを向けた時、内田の人生は再び動き出した。彼が超望遠レンズ越しに見たのは、まだ発達しきっていない、未知の可能性を秘めた少年。内田は、日に日に育つ心のシコリと向き合いながら、少年とも向き合った。そして本当の写真の素晴らしさに、気づいてゆく。