この本、子供の頃に母が買い与えてくれたものでしたが、あまり好きではなかった記憶があります。絵も綺麗だけど、なんかよくわからなくて。今見ると、ああ、「すばらしいとき」なんだなぁ、と改めておもいます。子供の頃に、この絵本と同じような体験があると、理解できたのかもしれないと思います。
それを、伸びやかな女の子が余すところなく享受している様を描ききっているのは見事である。
「・・・ほろびしものはなつかしきかな(牧水)」という詩がある。
過ぎてしまった子供時代と、止まることのない時。それらへの哀惜が、この本の一頁一頁に描き出された情景と静謐な語りを通して、我々のはるかな記憶を喚起して止むことがない。
自然とともに過ごした子供!時代のかけがえのなさを、悲しいほど思い知らされた。忘れ得ない一冊である。