雅楽の神秘を感じさせるCD
★★★★★
「御慶」というアルバム名のとおり、皇室の慶事において平安の昔から継承されている神楽・朗詠・雅楽・舞楽の名曲を集めたCDである。神楽歌は、皇室祭祀において現在も使われており、日本人のDNAに眠る古代の記憶を揺さぶるような神聖で不思議な感覚をおぼえる。朗詠は、漢詩の詠いに雅楽器による伴奏をつけたもので、日本史の教科書にも登場するのに、どのようなものか分からなかったが一度聴いただけで好きになった。舞楽「萬歳楽」「延喜楽」は、慶事に舞われる左方・右方の番舞(つがいまい)。「萬歳楽」は隋の煬帝の時代に作曲された傑作。「延喜楽」はその名のとおり延喜年間に作曲された和製の舞楽。「長慶子」はブームになった陰陽師・安倍清明の説話にも登場する源博雅作曲の軽快な雅楽である。これらを拝聴すると、平安貴族達の芸術感覚が当時世界一だった唐に劣るものではないことがわかる。このCDは当代一流の演奏者によるもので音質も素晴らしい。