かつら人との遭遇(居酒屋編) (かつらがばれた私の生きる道)
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かつら人(ビト)になって、私はある特殊な能力を身につけてしまいました。
それは、あるモノを、かなり敏感に嗅ぎ当てるようになったことです。
あるモノとは・・・。
そうです。
かつら人のニオイです。
一般人には持ち得ない嗅覚だと思います。
決して、臭気測定器とかには反応しない特殊臭です。
ニオイと言うより、フェロモンといった方が近いと思います。
いや、フェロモンというよりオーラだな。うん。
こんなこと何の自慢にもなりませんが、
私のそのヅラセンサーはすこぶる感度良好なのです。
かつらを脱ぎ捨ててしまった今では、その感度も若干鈍ってしまった感はありますが、
それでも、まだまだ敏感に反応することがよくあります。
あれは私がまだ、かつら人になって一年足らずの若輩者だった頃のことです。
同僚と、ある居酒屋に行きました。
カウンターが7~8席、テーブルが二つある、
粋な小料理屋って感じの居酒屋です。
のれんをくぐり、玄関を開けた瞬間に、
私のヅラセンサーが激しく反応してしまったのです。