死者の書とその他について
★★★★☆
本書は表題である死者の書など神話などの意味を解明し、地中海周辺にどのような思想影響をもたらしたかについて分かりやすく書いてある。
古代エジプトにおける死生観、自然や動物をどう見てきたのかなど大まかでなくある程度言及している部分は参考になる。
少し説明すると、古代エジプト人は生き方そのものが宗教的で信心深く、ほかの国の宗教にも影響を与えるほどだった。イシス神は特に。
そのあたり資料も豊富でそれぞれの神について詳しく書いてはいないが、理解しやすく読みやすいと言える。
ただ、著者があとがきで述べているとおり、考古学などの各方面からアプローチしているが肝心の神秘学的な知識が弱く、多くの人が神などの不可視の存在に対して“半信半疑”であったのと同様であったらしい。自然酵素や量子など科学的な面でも解明されつつあるのに目を向けてないようなので、古代文化を研究する上で残念だ。
字数や分かりやすさも本としては重要だが、より神話や壁画などのより深い意味合いは追及されていないのが目につく。それらに関してはハトホルなどの本が参考になる。
古代エジプトや死者の書が大体どのようなものなのか知りたい方にお勧め。