ある雪の日、目が覚めた男の子は、母親に外遊びに行くと告げ、雪だるまを作り始める。その晩、眠れない男の子は玄関の扉をあけてビックリ! 雪だるまが生きている! 身体は冷たくても心のあたたかな雪だるまは、居心地のよい男の子の家の中をさっそく見て回ることに。ネコは気にいるが、火のそばではさすがに困り顔。男の子はそのほかにも、テレビやランプ、蛇口から流れる水道水を見せて、雪だるまをビックリさせる。コンロは嫌がるが、冷凍庫の角氷はとても気に入ったよう。そして今度は、雪だるまが男の子に自分の世界を見せることに。ふたりは手に手をとって、雪の降りしきる空――おそらくロシアを越えて、中東へ――をめぐり、無事に我が家が戻って来る。パパやママが目を覚ます前に、とあわててベッドにもぐりこむ男の子。翌朝、起きるとすぐ外へ駆け出した男の子だが、雪だるまはすでに溶けてなくなり、そこには石炭が4つ散らばっているだけだった。
本書には文字がないので、好きなエンディングを作り上げることができる。たとえば、「そのとき、とつぜんピンク色の煙がわきあがりました。煙は雪だるまになり、男の子の家の車庫にある冷凍室で暮らすことになりました」とか、あるいは「…というわけよ、おしまい」とあっさり終わらせてもいい。
レイモンド・ブリッグスの『The Snowman』(邦題『スノーマン』)は、ボストン・グローブ・ホーン・ブック賞を受賞。冬の読み物の定番といえる本書は、毎年子どもたちの心を掴んで離さない。(未就学児童より)(Karin Snelson, Amazon.com)