たとえば、「病とつきあう」という項がある。そこで松下は、病から逃げてはいけない、病を恐れて遠ざけていると、病は後から追いかけてくる。反対に、病を味わい病と仲よくすれば、最後には病のほうから卒業証書をくれる、という。
実際、松下はもともと体が弱く、二十歳の頃に肺尖カタルを患い、三日働き一日休むというような生活をしていた。その後、体の調子と相談しつつ仕事を続け、結局、九十を超える人生を送った。
人間としての成功とは何か、悩みはどう解消すべきか、生きがいとは何か……。人生の達人・松下の言葉には時代を超えた説得力がある。