昼はふつうの社会人、夜になると風俗嬢
朝ふつうに出勤しても、夕方になると風俗嬢に変わる女性たちがいる。税理士をしながらSM嬢、高校教師でありながらホテトル嬢、会社を経営しながらソープランド嬢など。15人の風俗嬢には、どうして“ふたつの顔”が必要なのか。その本心に鋭く迫る。
元風俗嬢の著者のひたむきな情熱で完成させた力作。都会の謎に迫る異色ノンフィクション。
まえがき
「私って口の中にアレ出されるよりも、オシッコ飲んじゃうほうがいいの」吉田麻里・21歳/愛知県出身
「お父さんはもう夜中に来なくなったの。あの呻くような声が聞けなくて、寂しかった」坂本祐子・19歳/静岡県出身
「私、二回目のセックスで、もうイクことを覚えちゃったんです」工藤美奈子・27歳/神奈川県出身
「悔しいのは、客とやってて、いっちゃうこと。体が反応しちゃうんだ」大山香織・35歳/東京都出身
「一日のノルマは三本。それが限界」高木みゆき・22歳/長野県出身
「初めて男の勃起したモノを見たときは、声を張り上げそうなくらい感動しちゃった」清水明美・22歳/埼玉県出身
「夜の仕事はしばらく続けていくつもり。でもね、『一体どこで狂ってしまったんだろう』とたまに考えるよ」鈴木久美子・34歳/宮城県出身
「後悔してないんだけど、お客に体を触られる度に母親の声が聞きたくなるの」三橋由佳・32歳/福井県出身
「AVの仕事をして変わったのは、プライベートのエッチで『電気消して』って言わなくなったところかな」山本由美子・38歳/北海道出身
「風俗に来る男の人をみても、ただ出しに来るんじゃないってわかった。みんな誰かと話したいんだよ」松井美紀・25歳/山形県出身
「私はみんなの笑ってる顔がみたいんだ。人って、笑ってる時がいちばん人間らしいよ」森本真利子・34歳/千葉県出身
「この仕事をやりながら、生きるヒントを探してるのかも知れないね」渡辺美穂・26歳/神奈川県出身
「乱交プレイしてる最中に、友達から携帯に電話がかかってくる時は、さすがに困るよ」晴美・28歳/東京都出身
「子供が小学校の作文で『お母さんは、お風呂がいっぱいある所で働いてます』と書いてしまったんや」大田幸子・38歳/北海道出身
「SMって究極の愛だよ。殴られても蹴られても、喜んでるんだからさ」八木直美・30歳/山梨県出身
あとがき
●酒井あゆみ(さかい・あゆみ)
1971年、福島県生まれ。中学生から時給に惹かれて地元のキャバクラで働き始める。高校卒業後、上京。キャバクラでバイトを経験した後、知り合った男にファッションヘルスの店を紹介される。それをきっかけに「風俗のフルコース」と愛人業、AV女優を経験。20歳の時にヘルスに来た客と一緒に「AVプロダクション」を設立。自分でも現役女優をしながら社長業務をする。22歳の時、とある作家の取材コーディネートをきっかけに出版社の編集者と知り合う。熱心な執筆依頼を受け、半年後にデビュー作『東京夜の駆け込み寺』を発表(同タイトルはTBSの番組になった)。作家活動に入り、多数の作品を発表する。フランスで初上映した『TOKYO NOIR』をはじめ、小泉今日子主演の『風花』の映画監修、江角マキコ主演のTBSドラマ『独身生活』の監修など映像業界でも活躍。30歳を境に同棲していたヒモ男と別れる。貢いだ金額が一億近く。その反動で「男買い」を始める。その体験を元に執筆した『レンタル彼氏』(幻冬舎)は、GYAOでドラマ化され、ランキング1位を独走する。同時に漫画化もされた。