ピクート(『Second Glance』ほかの著者)の11冊目となるこの本は、子どもが重病と診断されたときに家族がしなければならない選択を、哀感と思いやりをこめて描いている。安楽死(『Mercy』)や10代の自殺(『The Pact』)、衛生保護法(『Second Glance』)のような議論の余地のあるテーマに取り組んでいる著者は、遺伝子設計や病気治癒を目的に子どもをもうけることと、その結果生じる倫理的、道理的問題に目を向ける。
ケイト・フィッツジェラルドは珍しいタイプの白血病を患っている。彼女の妹アナは、体への負担がしだいに大きくなっていく治療に代わるものとして、血液や臓器のドナーになることを目的に作られた子どもだった。13歳の時、アナは弁護士を雇い、腎臓移植の計画に関して、自分の体をどう使うか自分で決める権利を求めて両親を訴えることになる。一方、なおざりにされていた長男ジェシーは家を出て放火し、消防士をしている父ブライアンが必然的に、それを消し止めることになる。著者は、それぞれの登場人物の意志や見解を明らかにするため、複数の視点を導入しているが、その推移はいつものようになめらかではない。フラッシュバックの場面は唐突で、子どもたちの母親セーラは、これまでの作品の人物たちほどリアルには描かれていない。セーラが献身的にケイトに接するのは理解できるが、裁判にいたるまでのアナの苦境をまったく理解してやれないというのは信じがたいし、むかし取得した法学位を持ち出して、このような複雑なケースで自己弁護することになるというのも受け入れがたい。それでもピクートは、入り組んだテーマを、明瞭、果敢な姿勢でみごとに深く掘り下げ、胸を締め付けられるような予想外の展開で物語を締めくくっている。
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別の世界
★★★★☆
映画に感動して、原書を手にした。そこには映画とはまた別の世界があった。最後については、著者の息子も気に入らなかったそうだ。しかし、私はこれで良かったのではと思う。本の中のAnnaの最後のセリフがとても好きだ。決して忘れることはない。
難しかった。
★★☆☆☆
私はこの本は結構難しかったです、内容は映画を観分かっていたのですがそれでも、医療用語など辞書なくして読むことは難しかったです。
物語的には考えさせられる部分が多く、涙が出ました。
楽しい読書は期待できません
★☆☆☆☆
最先端の医療と家族の問題、興味深いストーリーにひかれて読みました。英語は難しくなかったのですが、登場人物ごとにフォントを変えて一人称で書かれた本文は読み辛く感じました。登場人物のそれぞれに感情移入しやすくする効果をねらったのかもしれません。ただ、母親のサラの言動はアナにとって冷たく思えて、サラにはあまり共感できませんでした(子供がいないせいかもしれませんが)。
重く痛々しい内容にも関わらず最後まで先が気になるストーリー展開になっているので、うまく作られているストーリーと言えるのかもしれませんが、結末はひどいものだと思います。結末部分で、私はこの作者が嫌いになりました。この結末の不味さを味わうためにこの本を読むのも一興かもしれませんが、心地よいカタルシスは得られないと思います。心地よい読書体験を求める人には、お勧めできません。
この訴訟はAnna と腎臓の問題ではないのだ。
★★★★☆
私事で非常に恐縮だが腎臓を壊して入院したとき、腎臓病の先輩の友達から、「あんたわかっとるか?腎臓というのは、2つあるうち両方併せて三分の二個分が機能しとったら本人は外見上健康ねんやで。」と言われた。つまり、2つある腎臓を1つだけ誰かにあげてしまうということは本人の腎臓の「予備タンク」を4分の3放棄するということなのだ。当然ちょっとした運動のあとの疲労や、睡眠不足が人並み以上に本人の体力を奪うし、女性なら出産や産褥は命取りになりかねない、寿命だって短くなるかも知れない。
なぜそんなことを書くかというと、本書のはしりを聞かせたところ、何人かに、家族で命の危険にさらされている人がいたら当然腎臓一個くらいあげても当然、みたいなことを言われたからだ。でもそんな簡単ではないらしい。肉親への臓器提供のために入院をしたあとでもまだ迷う人がいるという話しを聞いたことがある。
AnnaとKateの場合、おそらく年齢差と白血病がなければ外見上はほとんどそっくりであろう、遺伝子的双生児である。Annaも文中で語っているように、Kateなしの人生なんて考えたこともないし、考えられないのだ。家族愛や愛情では説明できない深いつながりだ。ましてや、ものごころついたときから、姉の入退院とともに入退院を繰り返してきたAnnaにとって、自分と姉のアイデンティティの境界線は極めてあいまいだ。
それなのに、Annaが、自分の親の親権から医学的に自立するための訴訟を起こしたわけとは?問題は腎臓ではなく、医学的な選択肢を誰が設け、誰が選択するか、誰が決めるかということだ。そして誰にとっても勝ち目のない議論なのだ。
物語がとても重いテーマを取り扱ったこともそうだが、物語全体を通して、不思議な優しさを感じた。読んですごく良かったと思う。
ただ、、、ラストはもうすこしどうにかならなかったのかな?という点で星をひとつへらしました。
命に関して、深く考えさせられる・・・
★★★★★
Jodi Picoultの本の題材は、現在アメリカが直面している様々な問題を取り上げている。
この作品は、「命」に関して、深く考えさせられました。とにかく読んでみて、重みを感じてみてください。
「Nineteen Minutes」も読みましたが、彼女のストーリーは、最後に必ず想像を絶する結末になります。
お勧めの本です。映画も観てみたいと思いました。