とてもいいです。
★★★★☆
「冶部少も、おぬしがような朋友を持って幸せ者よ」
と、吉継は黒田官兵衛に言われます。
吉継は三成のいい所も悪い所も全部わかっていて、三成を守り、支えてやろうとします。
吉継の誠実な人柄がよく描かれていると思います。
晩年、暴君のようになってしまった秀吉。その秀吉の為にすべてをなげうって働く三成。そんな三成を見て、
「三成の才知が三成を不幸にする。見ているのがおれは辛い」
「憎まれるのはいつも三成だ。朝鮮の陣でもそうだった。悪いのはすべて三成だ。誰も三成を理解してやる者はいない」
と妻に言います。
「大谷吉継がおりましょう。ここに」 そう妻に言われた吉継は、
「情けないかな、この大谷刑部殿は、何の力にもなってやれない」と言って、悲しく笑います。
病を発病し、進行も始まっていた吉継。吉継の気持ちがすごく伝わってきて切なくなります。
「何の力にもなってやれない」
そう言っていた吉継は、関ヶ原という三成の生涯で一番大事な瞬間に力を貸し、三成を守る為に戦って、死んでいきます。
涙が出ました。ぜひ一読してもらいたいです。
この小説の秀吉は威厳というか、冷たさと怖さがあります。ちょっと左近の影が薄いのですが、小西行長、宇喜多秀家はいい感じです。